歩行補助器で歩いて感じたこと

 先にこのブログで紹介したように、今年の春にトライウオカーなる歩行補助器を購入して使うようになってからもう4ヶ月になる。このトライウオーカーは予想した以上に優れ物で、使えば使うほど、その便利さがわかってくる。

 先ず何よりも杖よりもはるかに安全で、快適である。杖をついていても転ぶことがちょくちょくあったが、このウオーカーは三輪車なので普通に使えばまず転ぶ心配はない。

 それに、二つの後輪の間に体が入るので、四輪の手押し車のように体を前屈みにして押して進まなくても、直立の姿勢のままで進めるので、杖歩行時よりも姿勢を正して歩くことが出来る。

 3輪なので小廻りが効き、人混みの間を蛇行して通り抜けたり、道路上の仕切りバーや障害物を避けたり、急な方向転換にも便利で歩きやすい。

 また、後輪の幅を自由の変えられるので、狭い入り口や改札口なども、幅の如何によらず通り抜けられる。折り畳めるので、混んだ電車の中などでもあまり邪魔にならないし、家の玄関の中でも場所取らないで収容出来る。

 駅やビルなどでの上下の移動時には、エレベーターを使うのが容易だが、ちょっとした階段などでは、小脇に抱えるようにして昇降可能である。エスカレーターでは、登りはそのまま乗れば良いし、下りも折り畳めば横に保持して降りることも出来る。

 従って、このウオーカーの利用範囲は、近隣の散歩や買い物だけというのではなく、杖同様に街中へも出れる。ビルやデパート、ホテルなどへも杖歩行の感じで行ける。勿論、電車やバスを利用することも出来るので、旅行ももちろん可能である。

 平地でなくとも、山でもそこそこの道がついている所ならどこでも行ける。登りは杖より疲れないし、下りも坂が緩やかであれば車の先導に従って大股で歩けば快適である。少し急な坂でも体でウオーカーをさ支える様な格好にすれば、殆どブレーキを使わなくても進める。ただし、登山道の様な登り降りの急坂が続く様なところは危険を伴うのでやめた方が良い。

 またこのウオーカーを使うと良いのは、腕で車を上から押さえつけるようなことになるの

で、足へかかる体重が幾分腕からウオーカーへと分散されるので、長道を歩いても疲れ難くなることである。杖歩行時には、2〜3度休みを入れなければならなかった所でも、休まずに行けるようになった。おかげで、一旦諦めかけた月毎の箕面の滝行きの行事も復活させることが出来た。

 それにこのウオーカーを使っていると、目立つので、行き交う人は大抵道を譲ってくれるし、身障者かと思って「気をつけて行って下さい」とか「頑張って下さいね」などと言って声をかけてくれる人もいる。電車に乗って一駅だからと思って立っていると必ずと言っても良いぐらい誰かが席を譲ろうとしてくれる。

 また、ウオーカーを抱えて階段を降りようとすると、「持ちましょうか」と声をかけてくれたり駅のホームで階段の近くにいると、こちらが困っているのかと思って「降りられるのですか」と声をかけてくれたり、エレベーターの位置を教えてくれたりする人もいて。やはり人間には本質的に優しさが秘められているのだということを感じさせてくれる。

 ウオーカーを使った老人が以外にさっさと歩いているのが目立つのか、良さそうだなと思って通り過ぎる人もいるが、中には声ををかけてきて「良さそうなものですね、どこで買ったのか」などと尋ねてくる人もいる。そういう人には、出来るだけ長所を話してこのウオーカー の宣伝をすることにしている。

 歳をとってヨボヨボなのに、杖や歩行器を使うのは格好が悪いと思って使いたがらない老人も多いようだが、ヨボヨボ歩いて行動範囲を狭め、おまけに時の転んだりするよりも、歳をとって体が弱ったら、それなりに工夫して出来るだけ長く歩き続けられるようにする方がどれだけ健康にも良いし、老いの生活の内容を豊かにしてくれることだろうか。

 このウオーカーのおかげで、どれだけ行動範囲を広く保つことが出来ていることだろうか。感謝と共に、機会があれば出来るだけこのトライウオーカーの宣伝をしている次第である。