米国の尖兵にされる日本と韓国

 八月だったか、アメリカは日韓の首脳を呼びつけて、米日韓首脳会談を行い、安保条約を進化させて、三国間の会合を定期化して毎年行うようにし、アジアにおけるNATOのようなものを構築しようとしているようである。日韓が和解した機会に、両者をしっかりと繋ぎ止めて、アジアにおけるアメリカの尖兵として、対北朝鮮や、本命の中国の太平洋への進出を抑えようととしているようである。

 アメリカは日本や韓国にも、経済的な中国とのデカップリングを求めたいところだが、日本も韓国も中国との関係は歴史的にも古く、文化的にも経済的にも強い結びつきがあり、今でも中国は日韓両国にとって最大の貿易相手国でもあるのである。

 アメリカは日韓両国を何とか手なずけて、対北朝鮮や、台湾問題への介入、中国の封じ込めに使いたい思惑が見え見えである。場合によっては、対台湾や対中国に対して、アメリカの代わりに、その尖兵として代理戦争をさせようと企んでいるようである。

 しかし、日本にしても韓国にしても中国はすぐ隣の大国であり、アメリカとは違って、地理的にも近く、大昔から経済的にも社会的、文化的にも強い結びつきがある国で、日韓両国ともに、中国なしにはその存在すら問題になりかねない関係にあるのである。

 アメリカは「日米韓」対「中露朝」の対立と分断の構図を描き、その固定化を図り、日韓両国をその尖兵としようとしているようだが、それには限界があるし、かかる事態は絶対に避けるべきである。台湾問題を拗れさせ、日韓にアメリカの尖兵として代理戦争をさせようとする噂もあるが、日本もアメリカも台湾が中国の一部であることを今なお公式に認めているのであり、絶対にアメリカの挑発に乗ってはならない。

 ただ心配なのは、日本がアメリカの従属国であり、日本の自衛隊も韓国の国軍もアメリカ軍の指揮下にある上、これまでの国民よりもアメリカ追随を優先する日本政府の態度を顧みる時、果たして日本がどこまで自らの安全や平和を守って中立を維持し、米中の葛藤から中立でいられるか、甚だ心細いのではなかろうか。