この国の将来これでいいのか?

 最近のこの国を見ていると本当に情けなくなる。

 戦争に負けて国中が焼け野が原となり、闇市、買い出し、たけのこ生活、ララ物資で飢えを凌ぎ、浮浪者、餓死者が街に溢れ、占領軍は日本人の娼婦を連れ、そのジープに子供達が「ギブミーチョコレート」と言って群がり、マッカサーに「日本人は12歳だ」と馬鹿にされ、「日本は三等国」だと蔑まれ、残った工場施設は蒋介石に渡そうという話まであった頃のことを忘れることは出来ない。覚えている人はもう少ないが、経験のない人たちも、敗戦の結果がどんなに惨めなものであったかを知って欲しい。

 幸か不幸か、アメリカに占領され、従属国になったために、アメリカの朝鮮戦争ヴェトナム戦争のお蔭で、おこぼれ頂戴し、それを契機に会社人間として必死に働いたお陰で、日本は復興した。その後も発展を続け、1990年代にはJAPAN as No.1と言われるまでの経済大国になり、国民総中流とされる迄になり、戦後の混乱も、依然と続くアメリカへの従属をも忘れさせたかの如くであった。しかし日本がアメリカの従属国であることはずっと変わりはない。

 当然、かかる歪んだ日本の繁栄は長くは続かなかった。1990年代を境に、アメリカの圧力もあり、バブルは崩壊し、日本の経済は停滞を始め、以来、失われた三十年などと言われる如く、景気の回復は望めず、将来への希望さへ失いかけている。国民の給与は先進国の中で日本だけが伸びず、一人当たりのGDPはみるも哀れ、G7 の国で最低。韓国にも負けている。

 その間にも世界は動いており、中国の発展は目覚ましく、今や世界第二の大国とさえ言われるまでになっており、これまで世界を支配してきたアメリカ帝国主義の牙城を揺るがす程にまで力をつけてきて、今や米中対立と言われるまでになってきている。

 そうした中で、アメリカが従属国である日本や韓国をフルに利用して、中国を何とか抑え込もうとするのは当然の成り行きであろう。岸田首相が防衛費を国家予算の2%まで急増させ、南西諸島に敵基地攻撃可能なミサイルを配置することなどを、国民への説明もないままに急に言い出してきたのも、アメリカに言われたからである。軍事費にそれだけお金を使わなければ、少子化対策の予算の心配もなくなり、消費税の減額さえ可能なのである。

 アメリカの狙いは対中国であろうが、中国が近い将来、日本に攻めてくる可能性は極めて少ない。日本が中国と戦って勝てる可能性は先ずない。過去の日中戦争を思い出してもわかる。アメリカはウクライナで代理戦争の味をしめて、東アジアでは台湾での代理戦争を考えているのではないかという噂が飛んでいる。

 中国は太平洋の彼方のアメリカと違い、すぐ隣の大国であり、歴史的にもアメリカなどよりはるかに深く長い交流があり、今も経済的に日本の第一の貿易相手国でもある。このまま今までの流れに乗せられて、アメリカの手先として中国に立ち向かうことで、日本の将来の展望が開けるであろうか。

 日米安保条約があり、これまでそのお陰で経済発展にも役立って来たことを考えても、最早政治的にも経済的にも日米の利害は一致せず、ここらで日本独自の判断を優先させて、未来の展望を見直すべき時が近づいて来ているのではなかろうか。ドイツやフランスなどのヨーロッパの国々もNATO を通じたアメリカ支配の下でさえ、それぞれに自国の独自の将来を考えているようである。

 日本もここらで真剣に対米従属を見直し、独立した道を歩むべく、安保条約の改定などを真剣に考えなければならない時期が迫ってきているのではなかろうか。このまま絶頂期を過ぎたアメリカへの従来通りの追随一本槍では、この国の将来が危ういことに気づくべきである。