『「あいつウザくね?」「ハブっちゃえよ」と言ったのがバズってね』などと言われても老人にはわからない。しかしこれは新聞から取った言葉である。
昔から新しい言葉は若者から始まるものであるが、最近は女子高校生などがスマホでLineなどを通じて文字でやり取りをすることが多くなったからだろうか、この頃はやたらとカタカナ混じりの珍奇な省略語が流行っているようである。
それも若者の間だけの流行なら良いのだが、昔からこういう流行はすぐに大人の間でも流行るようになるもので、この間亡くなられた橋本治氏の小説「桃尻娘」から桃尻語などとも言われているようである。SNSなどを見るとこういった言葉のオンパレードである。
流行語なのでしばらく流行っても、そのうちにまた消えていくものも多いが、中には定着して、広く日本語として用いられることになるものもあるのがこれまでの歴史である。
この間、私の作ったカプルの人物像の作品の表題を「アヴェック」としようかと思っていたら、今時「アヴェック」とか「ナウい」などという言葉を使う人はある年代以上の人しかいないと言われて、そんなものかと気がついたが、こういう時代遅れのものは「オワコン」と言われるそうだ。「終わったコンテンツ」ということらしい。
同じ間略語でもスポドリ、コスパ、コピペ、コンサル、オフレコ、サブスク、アグリ、パワハラぐらいはすぐ分かったが、「トリセツ」は何だろうとまごついた。しかし、これなどは漢字で「取説」と書いてくれればすぐ「取扱説明書」の略だと分かるのだが、スマホなどでは漢字変換しなくても良いからトリセツになったのであろうか。
「リア充」などは「リアルな世界で充実している」ことだと、一度説明を聞かないと分からない。ましてや新聞に「えほロス」とあったが、これは恵方巻きの売れ残りが大量に捨てられることで、解説がないと理解の仕様がないが、一時的なことなので無視してもよかろう。
また、「イヤミス」というからてっきり「嫌なオールドミス」のことかと思っていたら、嫌な気分になるミステリー小説のことだそうで、おぞましいものを「オゾミス」とも云うそうである
昨日は「カスハラ」と言われて分からなかったが、カストマー・ハラスメントのことであった。次から次へ出てくるとカタカナ混じりに間略化された桃尻語にはとてもついていけないが、最近はインターネット上だけでなく、新聞などの文字文化の中にまで、こうした間略語が入り込んで来ているので、嫌でもある程度は付き合わざるを得ない。
最近どんどん増えてきている我々よりは少し若い老人世代はどう対応しているのであろうか。もう半世紀ほど先に、この国ではどんな言葉が使われているのであろうか興味が尽きない。