10月なのに33度

 昔から「暑い寒いも彼岸まで」と言われて来たが、今年はもう彼岸が過ぎて、10月の衣替えの時期だというのに、なお連日30度以上になる日が続いている。

 先日あったニューヨークでの国連総会で、スエーデンの16歳の少女が地球温暖化に対する大人たちの責任を追求する演説があったり、アマゾンの熱帯雨林の火災に絡んでの温暖化についての議論があったりしたところだが、この今年の異常な暑さもこの地球温暖化の一環であろうか。

 最近ではテレビの気象予報も当たり前のように、淡々と「30度を越えます、熱中症に気をつけて下さい」と言うだけだが、今年のようにいつまでも暑さが続くのは尋常でない。念の為、これまでの気象庁のデーターを調べてみても、確かに今年は異常である。昨年まで、例年10月になって気温が30度を超えるようなことは見られていない。例年10月ともなれば最高気温でも20度台には収まって、秋を感じていたことがわかる。  

 ただし、例外もある。今世紀になってからの10月の気温をずっと調べてみると、思い出せないが、2013年は暑かったようで、10月10日が31.6度で、それまで断続的に30度を超えている。それ以前では、2004年に10月1日だけが31.3度となっている記録もある。

 そんな例外もあるので、慎重さも必要であるが、地球全体のCO2排出量の増加や、北極の氷の減少、その他の色々な話を総合すると、やはりこの暑さは地球温暖化のせいではないかと疑うべきであろう。

 今年はもうなんとか終わるであろうから良いとしても、来年以降のことが心配である。さしあたり来年の夏には東京でオリンピックがある。一番高温多湿で40度近くにもなりかねないところで、果たして屋外競技など出来るのであろうか。選手ばかりか、観客の方にも、大勢の人混みの中で、熱中症で倒れる人も出るのではなかろうかと心配である。

 オリンピックを別にしても、将来この調子で地球温暖化が進み、夏の猛暑がより激しく長い間続くようになれば、どういう世界になっていくのであろうか。両極の氷が溶けて世界中の海面が上昇し、太平洋の島国が水没し、埋め立て工業地帯が巨大な防潮堤の嵩上げで持たせても、海水の蒸発などで気象状況が乱れて、台風や大雨などによる災害の頻発などに見舞われることにもなりかねず、人類文化の危機がやってくる恐れも大きくなるのではなかろうか。

 そんな大きなことを考えなくとも、老人は寒さにも弱いが、暑さには余計に弱いようである。来年も、再来年も、また40度に近い蒸し暑い夏がいつまでも続くのかと思うと、もうオリンピックどころではない。もう勘弁してくれと言いたくなる。

 このところ熱中症で死ぬ老人が多い。私の知人も一人ならず、夏に弱って死んでいる。私も今年の暑さが応えたのか、夏の終わりにはなんとなく疲れが出て、歩くのが遅くなり、早く歩こうとするとヨタつくようになった。

 まだ若い頃に、今なら熱中症と診断されるのではないかと思われる、脱水で意識をなくし、点滴だけで回復た老人を診たことがあるが、意識がなくて全く苦しそうでなかったので、死に方としては悪くないかも知れない。

 これ以上に暑い夏が続くようになれば、何ヶ月も蒸し風呂の様な中で我慢するより、或いは参考になるかも知れないなどと思ったりもする。