アングロサクソンの分割統治

 最近も日米韓3ヶ国の会談があり、北朝鮮のミサイル発射などについて一致した共同宣言などが出されたそうだが、慰安婦問題などをめぐる日韓の意見の相違は埋まらなかったと報道されている。

 私などは隣国である韓国や中国などとは、小さな矛盾は克服して仲良くしようとすれば、それが出来ないわけはないと思うが、実際には反対に日本での中国や韓国の評判は良くない。仮に日中韓が仲良くアジアで手を組めば、世界一強力な地域が出現することになるに違いないが、困るのはアメリカであろう。中国の発展だけでも、何とかそれを食い止める方法はないかと思案しているところに、日中韓スクラムを組んだりしては、アジアにおけるアメリカの存在がなくなってしまうであろう。

 アメリカにとっては、日本、中国、韓国がお互いに喧嘩してくれる方が有難いのである。日米間の今度の会議などはアメリカにとっては大成功であろう。日本と韓国が争いながらも、それぞれがアメリカとは一致してくれることは願ってもないことであろう。むしろこれはアメリカが日本と韓国が不仲であるように操っているのではないかと疑いたくもなる。

 それは、アングロサクソンには分割統治の長い伝統があるからである。一番有名なのは、イギリスによるインドの統治であろう。そのため、インドは独立時にヒンズー教のインドと、イスラム教のパキスタンバングラデシュと国が分裂してしまった。また、インドの鉄道は場所によってレールな幅がまちまちで、広軌の所もあれば狭軌の所もあり、それが妨げとなって、一貫した長距離鉄道網が困難になっている。また、インドの言葉は地方によってかなりの違いがあり、文字も違うので、インドの紙幣には七つの文字が印刷されている、その上、カースト制がいまだに尾をひき、社会の発展の阻害要因になっている等、いまだに分割統治の後遺症が社会の発展の阻害要因になっているようである。

 そうした分割当時の伝統は今なお続いており、先の大戦の戦後処理においても生かされ、将来の問題点を意識的に残して、その時の問題を解決するようにしているのである。その結果が香港や台湾問題であり、日本の竹島であり、尖閣諸島なのである。この島嶼問題などは、どちらもそれ自体は、それほど価値のあるものではないが、領土問題となるので、国と国を争わせるには恰好な対照なのである。

 竹島問題や尖閣諸島でお互いの争いを利用すれば、自分は両者から中立だと言いながら

そのどちら側とも関係を築き易い。日本と韓国が喧嘩してもアメリカは痛くも痒くもない、両者の関係からは中立だと言いながら、それぞれと個別に交渉すれば、共同で向かわれるより、別々の方が相手の力は弱いので遥かに交渉し易いことにもなるというわけである。