東亜共榮圏

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 アメリカのトランプ大統領のコロナ発症にも関わらず、ポンペオ国務長官が来日し、茂木大臣が議長になって米、日、オーストラリア、インドの4ヶ國会議を開き、対中国の包囲網を作ろうと画策している。

 しかし、オーストラリアもインドも中国との経済的な関係から、アメリカの思わく通りに事が運ぶかどうかは、今のところわからない。日本は従属国なので、アメリカの思惑通りに動くよう強いられるであろうが、もはやアメリカの凋落は避けられない。米中対立の中で、日本は今後どう行動すべであろうか。

 最早、日本より強大な国となり、隣国であり、経済的にも関係の深い中国との関係は、将来を見越せば、安易な米国従属を続け、中国包囲網の最前線にいて良いものか、ここは慎重に考えて行動すべきであろう。

 今後の世界はどう見ても、アメリカの一極支配が終わり、アジア諸国やその他の国の発展が顕著となって、世界の多極化が進み、Paxのない世界となっていくことは間違いないであろう。日本がそれに対応していくためには、いつまでもアメリカの従属国家であることを止め、完全な独立を達成させて、自主独立で自己の運命を築くことが必須である。

 トランプ大統領が言う通り、アメリカにとってはアメリカファーストなのである。アメリカの利益と日本に利益は常に一致する筈はない。アメリカは太平洋の彼方の国であり、日本は朝鮮半島や中国大陸と一衣帯水に結ばれた所に位置している。近隣国とは近いが故に色々な問題も抱えるが、近いが故に、共に協力すれば地域の発展や人類の幸福にもつながりやすい。

 歴史的にも中国や朝鮮は有史以前から交流があり、多くの文化を共有してきているのである。ここで、私の小さな経験話を挿入しておこう。箕面の滝道の脇にどこかの会社の研修所のようなものがあり、その入り口の前の広場に、漢字交じりの日本語で刻まれた孔子論語の大きな石碑が置かれている。(写真参考)
 もう10年以上も前のことになるが、韓国の夫妻が我が家に泊まったことがあり、近くなので箕面に案内した時に、たまたまこの碑を見て、その夫婦が韓国語で論語のこの文をスラスラと読んで驚かされたことがあった。韓国は今はハングルなのにと思ったが、今でも高校では漢文を習うので、殆どの人は漢字が読めるののだそうである。

 また2〜3年前には、中国人の旅行者で箕面も賑わっていたが、当時たまたま私たち夫婦がその研修所の前を通りかかった時に、その近くで紅葉を見ていた中国人のカップルがいたので、その論語の碑を教えたら、喜んで碑文を読んでくれた。論語に書かれた漢字の間のひらがなは読めなくても、漢字がわかるので、論語は中国の人にも、韓国の人にも、直接理解出来る3国に共通した文化であることをつくづく感じさせられた。

 日中韓は歴史的にもずっと古くからの交流が深く、共通文化を持ってきた国であり、経済的にも相互依存が強く、共に近代国家として発展してきたことを考えれば、隣接したこの三國が協力して益々栄えていくことが人類の歴史に取っても輝かしいことになるのは間違いないであろう。

 それこそ、日本の右翼の見損なった夢とは全く違うが、同じ地域の日中韓の東亜共栄圏の建設となろう。ヨーロッパ連合のようなものも出来るのではなかろうか。勿論、朝鮮の平和的な統一が望ましいし、極東ロシアやモンゴルなども加わっても良いだろう。

 アメリカの提唱する米、日、豪、印の4ヶ国での中国包囲網はアメリカにとっては役にたっても、日本にとっては、中国と対立しても何も得るところはないであろう。尖閣諸島竹島のような小さな問題のために大局を見誤ってはならない。

 中国や朝鮮半島との共存なくして未来に日本の発展は考えられない。そのためにも、何とかしてアメリカからの真の独立を果たして、日本が自主的に判断して日中韓の共栄を目指すことを切に願うものである。