隠岐旅行(1)

 隠岐へ2泊3日の旅行で行ってきた。

 もう十年以上も前になろうか、ギリシャへ旅行した時、エーゲ海サントリーニ島を訪れてから、島の成り立ちが火山で構造的に似ている隠岐に興味が湧き、一度行ってみたいと思っていたが、そのままになっていた。

 ところが2〜3年前に、田中一村美術館に惹かれて、奄美大島へ行ったのがきっかけで、以前から行きそびれていた日本の離島を思い出し、朝鮮との関係で行きたかった壱岐対馬へ、次いでは隠岐へということになった次第である。

 隠岐へ行って知った知識では、島の成り立ちは5万年前の火山の爆発に由来するものらしく、今の島前、島後の火山が噴火して出来たが、その頃は日本列島はまだ大陸の一部であったらしい。それがやがて日本海に当たるところに湖ができ、それが広がって日本海となり、日本列島が形成されることとなったようである。しかし、その頃は隠岐の島々はまだ島ではなく、島根半島に続く日本列島から伸びた半島として地続きであったようだが、その後の海面の上昇とともに現在のような島になったということらしい。

 その証拠に島根半島隠岐は地質学的に連続しており、同じ黒曜石の地層が続いており、今でも両者の間は水深70米ぐらいの海底丘陵でつながっているそうである。

 そうした長い歴史の間に、火山性の岩石の崩壊などが進み、現在のような姿になったもののようである。従って、島前では焼火山(たくひ山)、島後では大満寺山を中心とした火山島になっているが、島前では外輪山の内側まで海が入り込んで、三つの島になっている。

 サントリーニ島と異なるのは、サントリーニ島では中心となる火山島は小さく、外輪山に当たる島の内側の海岸が急峻で、その崖の上に街が発展しているのに対し、隠岐の島前では外輪山に当たる島の内側はそれほど急峻ではなく入江毎に海岸に沿って人が住み、外輪山の外側の外海に面した方が長年の侵食で削られて、断崖絶壁の海岸線になっていることであろう。

 そこでは最高257米にも及ぶ直立した断崖が続いたり、海蝕による奇岩や洞窟などをも多数作り出されて、結構興味深い観光資源になっている。隠岐を代表する観光スポットのローソク島が有名であるが、島前の国賀海岸などの方が遥かに変化に富んでいて訪れる値打ちがある。遊覧船で船ごと洞窟内へ入れるような所もあった。また、これらの絶壁の上は平坦な草原で、放牧や遊歩道、展望台などになっている。

  なお、島の内部も山また山で変化に富むが、平らな農地もあり、米の栽培も行われているし、どこもかしこもアジサイの花盛りであった。