憲法改正より先に日米地位協定の改正を!

 戦後1946年に出来た憲法も既に施行以来76年以上も続いているが、その間、自民党政権により散々解釈改憲がおこなわれ、何とかかろうじて元の姿を保っているが、今や本来の姿のあちこちに大きな歪みが生じてきてしまっている。

 軍隊を持たないと明記してあるのに、現実には世界でも有数な自衛隊なる軍隊を持ち、今では敵国への先制攻撃まで可能にしつつある。

 為政者はそれでもまだ満足できず、憲法そのものを変えようと、早くから執拗に働きかけている。憲法に政府は憲法を守らなければならないと明記されているにもかかわらず、政府でなく国民の代表である国会が進めようとしているのだから構わないというが、その国会を主導しているのが同じ人間の政府なのだから呆れる。

 しかも、今のこの国は日米安保条約地位協定という、憲法よりも上位の法によって体制が決められており、再軍備などの解釈改憲なども、アメリカ主導の下に、政府が決めて行われてきているものである。

 ところが、そのアメリカの日本に対する要望の実行の足枷になっているのが日本の平和憲法なのである。それをアメリカの要望に沿うべく、無理をしてきたのが解釈改憲なのである。

 憲法を変えれば、アメリカの要望に対する防波堤がなくなる。今より一層アメリカの要望に忠実に答えなければならなくなるだけで、日本の国民生活の改善に資するわけではない。

 政府はその憲法改正を利用して、国内体制や政治のあらゆる面でのあり方を自分たちの都合の良いように変えようと目論んでいるのも当然である。

 憲法を変えても国民の生活は良くならないし、沖縄の基地問題も解決にはつながらない。むしろより悪い反対方向に動くであろう。

 憲法よりも先に日米地位協定だけでも改定して、先ずは日米が平等な条約にし、アメリカの圧力に屈することなく、少しでも日本自体の利害により動ける体制作りが先であろう。その下に日本国憲法もあるのである。

 沖縄県民の世論に反し、「戦死者の骨の残る南部の土を埋め立てに使うな」というような切なる願いまで無視して、辺野古基地建設を強引に進め、先制攻撃まで言い出して、先島諸島の基地化を進め、防衛費を国家予算の2%まで引き上げるなど、全てアメリカの主導によるものである。

 米軍基地からのオミクロン感染拡大、化学物質の漏洩、米軍機の東京上空でさえの低空飛行、落下物、墜落事故など、幾多の事故に際しても政府は国民よりアメリカ優先をせざるを得ず、安保条約は国民を守るものではなく、国民生活よりも、米軍をはじめとするアメリカに従属するためのものであることは明らかである。

 こういう状態が既に「大日本帝国」の七十七年と同じ期間続いてしまっているのである。

それでも、政府は国民を守るためにアメリカと交渉しないのか。安保条約、日米地位協定などの一連の協定のうち、せめて、先ずは地位協定だけでも、ドイツやイタリア並みに、平等な協定に改正するべく動くべきではなかろうか。

 先述の如く、日米条約は憲法を凌駕する法律である。憲法改正を考えるよりも前に、日米地位協定を平等な協定に改正するべきではなかろうか。