現在大阪で行われている万博で、「空飛ぶ車」を実際に飛ばせて見せる計画があるとかで、変種のヘリコプターのような乗り物の写真が新聞に出ていた。家を出て電車に乗って出かけ、空港で煩雑な手続きを済ませて飛び立つのと違い、自家用車のように、玄関口から気軽に飛び立てれば、どんなに便利なことであろうか。
しかし、人口の少ない田舎の一軒家なら、それこそ有り難い話だが、人口密度の高い都会などで、あっちからもこっちからも無数の空飛ぶ車が飛ぶようになったとしたらどうだろう。空は見苦しいし、やかましくなる、その交通整理もうまく出来るのであろうか。
空は広くても、平面の道路と違い、立体的な空間である。道路標識のような固定したものを設置して規制の目印にするわけにはいかない。しかも、接触でもすれば、地上と違い、軽い事故でも全てが致死的な事故にもなりかねない。下に住む人たちの生活も破壊される。
当然、コンピューターの出番になろうが、計算上はいろいろ安全対策に配慮した規制枠が作られるであろうが、現在の平面での道路などの規制でも事故が如何に多いかを知ると、余程辺鄙な人も住まないような所でないと、安全を保証する規制は難しいのではなかろうか。当然、騒音の問題などもある。
地上の交通でも、可視可能な普遍の線引きなどをして、誰が見ても分かり易い規制をほぼ完璧にしても、使用する人間側の問題もあり、今でも交通事故の報道は後を経たない。それを三次元の空間で如何にコントロールするのか、未知の世界の安全が心配である。
空飛ぶ車より空飛ぶ宅急便のようなものの方が先に普及しそうであるが、やはり都会での空間の安全規制をどうするのか心配になる。空を飛ぶ物体ばかりでなく、その下にいる人にとっても、本当に安全を守れる空間の規制が出来るものだろうか気になるところである。
更には、空からの騒音、空気の汚染、眺望、その他空飛ぶ車などに関わる問題は多い。空飛ぶ車や空からの配送より先に、地上で生活している人々の安全を優先させて物事を進めて欲しいものである。