コロナ対策の抜け穴

 このブログの今年の一月十七日に、「コロナによる国境閉鎖の抜け穴」として、日本は島国なので、国境閉鎖も陸続きの国の多いヨーロッパと違って、やり易いのに、米軍基地を通しての、チェックなしの国境越えが問題だということを書いたが、最近それが現実の問題となっている。

 ニュースでも報じられたように、沖縄の米海兵隊基地「キャンプ・ハンセン」で、日本人従業員二人と、米国籍の軍属、その日本人の夫の計四人が、新型コロナのオミクロン株に感染していることが分かったのである。

 基地内ではクラスターが発生し、米兵ら百八十六人の感染が確認されている。ところが、それに対する米軍の対応がけしからん。ゲノム解析の機器がないとして調べようとせず、県が日本側で調べるために検体提供を求めると、個人情報の保護などを理由に拒否したそうである。

 米軍は「基地外の住民とは接触がない」と安全を強調するが、感染の分かった四人は現に基地外に住んでいたのだそうである。米兵らがルールを守らなかった事例はこれまでにも枚挙にいとまないぐらいあるのである。

 政府が水際対策の強化を掲げ、外国人の新規入国を原則停止しているが、米軍人は日米地位協定によって我が国の法律は適用されないので、米国から直接嘉手納基地に入り、日本の検疫を受けないまま県内を移動しているのである。米軍は入国前に検査で陰性を確認し、ワクチンも2回摂取していると言うが、隔離期間が取られていたかなど、政府すら確かめることが出来ないでいる。

 これは沖縄だけの問題ではなく、横須賀や山口、岩国など日本にある何処の米軍基地でも、基地内での感染拡大などの地元自治体への情報提供も十分でなく、基地周辺の住民の不安は増すばかりである。

 沖縄の基地負担軽減担当を兼ねる松野博一官房長官は「地元の不安解消に最大限努力する」というが、言葉ではなく、実効性のある行動で国民の生命・健康を守らなければ意味がない。

 やはりこうした米軍の勝手な行動を抑え、国民の命と健康を守るためには、米軍の横暴な行動を抑え、政府が対等な立場で米軍にものの言えるように、不平等の原因となっている日米地位協定を相互に平等な条約に変えなければ解決出来ないであろう。