LCACって何か知ってますか

 5月13日の新聞に、米軍揚陸艇夜間訓練、地元に不信感という見出しで、佐世保湾で今年の1月以来LCAC(エルキャック)という米軍の揚陸艇が夜間に騒音を出して訓練を続け、地元民が困惑しているが、地位協定のために政府は何ら関与することが出来ないという記事が出ていた。

 もともと、この駐機場は佐世保市内にあったのを、住宅地に近くて騒音が問題となったので、国が対岸の西海市に移転したものだが、移転に際して「夜間や早朝の訓練をしないよう米軍と調整する」という協定を国と市が結んで、移転を進めたものであった。

 それにもかかわらず、米軍が市への事前通告もなく訓練を始めたため、夜間の騒音や漁業者などへの危険性を憂え、市が滋賀防衛局に抗議したが、米軍は協定の制約を受けないとし、訓練を今後も続けるとしているそうである。

 国と市の協定よりも日米地位協定が優先し、米軍基地の管理権は米軍にあるので、日本政府は米軍の運用になんら関与することが出来ず、国と市の協定は「米軍と調整する」としているだけで、国は初めから米軍の訓練を止められないことがわかっていて、国民の目をごまかすために協定を結んだに過ぎなかったことが明らかになった。

 日米安保条約、それにもとずく日米地位協定のために、米軍による被害に対していつも泣き寝入りさせられてきた問題は、沖縄の基地問題だけでなく、日本国中どこでも起こることであり、今後も同様なことがいつまで続くことかもわからない。国は国民の安全と平和な暮らしを守るために、それこそ憲法を変えるよりも前に、地位協定の改定に取り組み、平等な条約に切り替えることこそが切実な問題ではなかろうか。

 それはともかく、LCACとは聞き慣れない名前だが、一体どういうものだろう。オスプレイは随分有名になったが、水上でも何か新兵器でも出来たのかと思って調べてみた。

 LCACというのはLanding Craft Air Cushionの略で、エアクッション型揚陸艇というのだそうである。戦車などの揚陸に使われとかで、自衛隊も6艇ほど所有しているとのことである。どういうものかというと、何のことはない。昔、宇高連絡その他でよく使われていた高速艇、ホーバークラフトの類なのである。

 一時流行ったホーバークラフトは速いが、騒音、振動、悪天候に弱い上、運行コストが高くつき過ぎたためにいつしか姿を消していったが、軍用ではこれらの欠点はあまり考慮しなくてもよいので、上陸作戦などで戦車やトラックなどの重量物の運搬に有用なのだそうである。

 ただ運転は難しいらしく訓練が必要なのだろうが、ホーバークラフトのことを思い出してみると激しい騒音が周囲で問題になるのも容易に想像される。あのやかましい音が静かな湾岸に毎晩のように響いては誰しも文句を言わないではおれないのも当然であろう。

 沖縄の人たちだけでなく、全ての国民が自らの生活を自ら決められる独立国になることを望んでいるであろう。国民に責任を持つ民主的な政府であれば、憲法改正よりも前に、一刻も早く地位協定の改定に取り組み、国民を苦しみから解放するべく努力すべきではなかろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

2017/04/05 - LCACは全長26・7メートル、最大幅14・3メートルで排水量は85トンと比較的大きく、 おおすみ型に2艇ずつ搭載。おおすみ型は「おおすみ」「しもきた」「くにさき」の3隻が存在するので、海自全体としては計6艇を保有していることになる。
 
LCAC(えるきゃっく)は、エア・クッション型揚陸艇に対する呼称である。"Landing Craft Air Cushion"に由来する艦種記号が、転じてエア・クッション型揚陸艇そのものを指す略称として用いられている。 アメリカ海軍などで用いられている。また、日本の海上 ...