再び憲法改正より先に安保地位協定改正を望む

 先にも同じようなことを書いたが、やはり繰り返して言いたい。今は森友、加計学園防衛省の日報問題で国会が紛糾しているが、安倍首相を先頭に立てて日本会議を中心とした日本の右翼勢力は、今年中には国会で憲法改正の発議にまで持って行こうとやっきになっている。

 しかし国家が国民のためを思うならば、国としてそれより先にやらなければならないことがあるのではなかろうか。長年来の多くの国民の願いは安保体制の日米地位協定を改定して安保体制を日米同等な条約にして欲しいということである。

 不平等な地位協定のために国民が日々の生活に困窮していることは、もはやごまかしようがないところまで来ている。憲法は今すぐ変えなければならない必然性がないが、地位協定は国民の日々の安全で平穏な生活を守るために欠かせないにことだからである。

 沖縄からはもう何年も何年も悲痛な声が聞こえてくる。沖縄戦で人口の四分の一が殺され、戦後は銃剣によって土地を奪われ、今も日本の0.5%しかない土地に日本中の基地の70%以上の広さの基地が作られ、地位協定のために全てがアメリカ軍優先で、沖縄の人々の生活が大きく傷つけられてきている。

 その上、アメリカ軍の犯罪も多く、その被害に対してさえ、日本政府は何も有効な手を打ってきていない。そういう歴史がずっと続いてきているのである。最近の例だけ見ても、米軍のヘリコプターやオスプレイの墜落や、空からの部品の落下による住民の懸念に対しても、政府が抗議して米軍が遺憾の意を表明するだけで終わり、何も変わっていない。

 しかも、こうしたことは沖縄に限ったことではない。最近は三沢基地の近くで米軍の戦闘機が火災を起こし、それに対処するために燃料タンクを湖に投下し、湖の漁業が禁止になる事故が起こっている。すぐ近くに漁船がいたが幸い被害はなかったものの、米軍は当然のことのように無言のままで、自衛隊が後始末をするだけであった。

 最近横田基地へのアメリカ軍のオスプレイ配備についても地位協定のために日本政府は何もアメリカに言うことができないのである。米軍は日本中でどこでも好きなように振る舞えるが、何か事故が起こっても、日本政府はそれに対して何も有効な反対手段を講じられないのが現状である。

 これらのことは、全て憲法よりも優先する日米間の安保条約の地位協定に基づいているからである。この協定が日本の主権を侵害し、日本をアメリカに事実上従属した国にしているのである。

 政府はこの地位協定については国民に対して口を地座したまま、強引に憲法改正を進めようとしているが、国家間の協定は国内の憲法に優先するので、例え憲法が変わっても、地位協定による従属関係は変わらない。国民を悩ましているのは憲法よりもこの地位協定である。こちらを先に改定し、地位協定を日米が平等な協定にし、日本政府がアメリカと対等に話し合えるようにすることこそが国民の要望であり、これこそ憲法改正よりも優先して、政府が迅速に取り組むべき課題ではなかろうか。

 これは何も日米同盟を傷つけるものではない。ヨーロッパの国々やフイリピンとアメリカの同盟関係を見ても、日米の地位協定よりも平等に近いようである。平等な協定の下での方が日米の協力関係もうまく行くのではなかろうか。憲法改正はその後に考えても決して遅くはない。ぜひ国民が声を大にして地位協定を変えるため、政府にアメリカと交渉するよう強く働きかけようではありませんか。