中学校から歴史を習ったが、近代史としては、徳川幕府が倒れ、近代日本が始まったのが明治維新で、それを契機に近代日本が始まり、台湾征伐や日清戦争に勝って台湾を手に入れ、日露戦争で南樺太を奪い、朝鮮併合大陸の利権を得、第一次世界大戦で南洋諸島を委任統治区にするなどして、大日本帝国が栄えてきたことを学んだが、これらは全て自分達がまだ生まれていない遠い昔の出来事という受け取り方であった。
しかし、今から思えばそんなに古いことではなく、明治維新にしても、その頃よりわずか70年ぐらい前のことに過ぎなかったのである。当時まだ元気に生きていて色々世話を焼いてくれていた祖母も明治以前の生まれだったし、曽祖母も九十四歳だったか出会ったこともあった。
帝國陸海軍も古い伝統を守ってなどと言われていたが、明治はじめの創設なので同じ70年そこそこにしか過ぎなかったし、私が最後のクラスとなった伝統あり海軍兵学校と言っても77期だったということは明治になってから敗戦まで77年に過ぎなかったということである。
ところがいまだに昨日のことのようにしか思えない第二次世界大戦は1945が敗戦だから、来年でもう明治維新から敗戦までを超えて、80年になるのである。実際に戦争を経験した人たちももう殆ど死んでしまっている。
私にとっては昨日のような感じであっても、今の若い人たちにとっては、あの戦争ももう遠い昔の歴史上の出来事になってしまっているのであろう。「アメリカと戦争したの?」と真面目に聞かれたという話も聞いた。戦争を語り継ぐと言っても、実際ににそれを体験した人と、話だけでは受け止め方が違うのは当然であろう。
一昨日の朝日歌壇に「読み返す『朝日歌壇』の反戦歌 四半世紀には半減したり」というのがあったが、時の経過は争えない。それでも何とか戦争の記憶を伝え、先々までも、二度とあのような惨禍を繰り返さなようにして欲しいものである。