世界の厄介者になりかねないアメリカ

 雑誌世界2024年11月号には「アメリカという難関」と言う特集が組まれていたが、アメリカでは来年早々からトランプ大統領の時代になることが決まり、世界中がどんな世の中になるのかと危惧している。

 経済的にも軍事的にも世界の一強として世界を支配してきたアメリカも、世界大戦以降、朝鮮戦争ベトナム戦争イラク戦争アフガニスタン戦争その他、殆ど絶えることのないアジアやアフリカ、中近東における戦争を続け、こくりょくを世界中から恐れられると共に、陰では嫌われてきた。そのアメリカも流石に消耗してきた上に、リーマンショックなどで明らかなように、経済的にも困難に直面し、今やBRICSと言われる新興国に追い上げられるようにさえなりつつある。

 その上、今度のトランプ大統領出現が象徴的なように、今やアメリカが世界に向けて掲げてきた民主主義さえ危うくなって来そうである。これまでも、経済的には上位0.1%の世帯が持つ資産が下位50%の合計資産に対する割合が1990年に約2倍だったのが、2024年には5倍以上に達すると言う富の集中が見られ、そこへのトランプ大統領の就任はアメリカが民主主義から独裁の傾向を強める恐れが十分にある。

 トランプ大統領アメリカ第一を唱え、諸外国、中でも台頭して来た中国を押さえつけるために高関税で輸入を抑え込み、流通過程に打撃を与えようとしている。それに対し、BRICS側では流通機構のドル支配から脱却する共通貨幣機構の構築さえ考えられているようだし、将来どうなることやら。ウクライナ戦争に対してアメリカが課したドルの流通機関からの排除もロシアでは効果がなかったことにも注目すべきであろう。

 しかし、アメリカの相対的な国力の低下、独裁主義への恐れ、新興国、中でもBRICSをはじめインド、インドネシアなどの発展、ヨーロッパの衰退などで、世界がどう動いていくか将来は予想を超えて変化発展していくことは間違いないであろう。

 その流れの中で、我が国もいつまでもアメリカのみへの追随を改め、BRICS諸国をはじめとする諸国との独自の外交関係を構築していかねばならなくのではなかろうか。どこかでアメリカの軛から逃れることを考えなければならない日が来るのではなかろうか。