今年で戦争に負けてから75年も経つ。もう戦争を実際に体験した人も殆どが故人になってしまった。戦争を知らない人でも、もう後期高齢者になる。
それにも関わらず、情けないことに、未だに日本はアメリカの属国である。日米安保条約によって、アメリカ軍が半恒久的に日本に駐留し、日本の主権の及ばない基地を持ち、アメリカの軍関係者は自由に日本へ入国出来る。トランプ大統領の訪日は、日本の主権の及ばない日本国内の米軍横田基地から始まったことも象徴的であった。一方、日本は東京の空の交通すら、アメリカ軍の都合で制限されているので、オリンピックのための増便予定の羽田着陸は、危険と言われるような急角度の着陸という予定になっている。
新聞も他のメディアも殆ど触れないので、多くの人が今でも、この国は民主的な平和な国だと思っているかも知れない。しかし、民主的な選挙によって誰が政権を握ろうと、今のままではアメリカの意向に反して、国を運営することが出来ないことを忘れてはならない。この国の大事なことは日米地位協定などによって決められるからである。安倍首相が、トランプ大統領の当選が決まった途端に、まだ大統領になる前から、馳せ参じて媚を売ったことを忘れてはならない。そのような国がどうして民主国家と言えるのだろう。
明治維新の前の安政5年(1858年)に結ばれた五ヶ国との不平等条約も、1911年には関税自主権も回復し、諸外国との平等な関係を取り戻しているが、その間がおよそ50年である。戦後に押し付けられた日米安保条約も、敗戦によるものだから仕方がなかったとしても、半世紀もすれば事情が変わっているのではなかろうかと期待もしていたが、75年経った今でさえ、殆どその不平等さは変わっていない。長年の不平等関係が続くと、それに依存して自己の温存を図ろうとする勢力が育つものであろうか。
戦後のアメリカの一極支配の世界で、日本以外の国でも、アメリカ軍の駐留を許し、安全保障条約のようなものを結んでいる国も多いが、主権の相互関係は国によって違い、ユーロ諸国とアメリカの関係は日本と随分違うようだし、フィリピンなどでも、アメリカの基地を撤去させたようなこともあるが、日本の従属関係は一貫して変わらない。
しかも、アメリカ軍の駐留費用は、殆ど言われるままに、日本が負担している。これらの不平等な決まりは日米地位条約により、定期的に行われているアメリカ軍と外務省などとの打ち合わせで詳細が決められることになる。
政府は必死になって実態を隠し、基地も、沖縄に集中することによって、国民の目から出来るだけ逸らそうとしているが、自衛隊の沖縄の先島諸島の基地建設にしても、自衛隊はアメリカ軍の従属部隊であり、大きな方針はアメリカ軍の意向によって進められているものである。
アメリカ軍に日本を守って貰うためというが、アメリカが戦えば、自衛隊はそれに巻き込まれ、基地は攻撃にさらされ、住民は再びあの沖縄戦の惨状に巻き込まれることになる。イージス・アショアにしても戦闘機にしても、コロナによる国民への補償よりも、高額な武器をアメリカに言われるままに優先して購入させられている。
軍事的だけでなく、経済的にも日本はこれまででも、どれだけアメリカによって翻弄されて来たことだろう。戦後、アメリカの朝鮮戦争やヴェトナム戦争で、アメリカのお陰で経済の復興を遂げさせて貰ったが、それ以後は、アメリカとの通商関係では常に譲歩を強いられ、半導体協定で、日本の半導体シェアは韓国に渡り、スーパーコンピュータの開発は遅れ、日本のOSトロンは潰され、、人工衛星や、戦闘機や民間航空機の開発にも圧力がかけられるなど、通商摩擦による損害は計り知れない。
それに最近になってアメリカの中国に対する圧力が強くなり、米中関係が将来どうなっていくのかも不安である、米国の前進基地とされたのでは、軍事的な実害が恐ろしい。米中どちらも日本にとっては生存にも関わる重要な国である。日本の取りうる正しい立場は中立しかない。
もうそろそろ、多くの困難が伴うことであろうが、ここらで、アメリカべったりの依存から脱却して、独立した中立国家になることを目指すべきではなかろうか、それが日本が今後、二度と国民をあの惨禍に巻き込まず、生きていく唯一の道であろう。
差し当たり、腐敗した、アメリカべったりの、安倍政権を倒し、この国を真の独立国家にするべく努力することが、一番大事な目標になるのではないだろうか。