原発処理水放出の疑問

 福島原発に溜まったALPS(Advanced Liquid Processing System)処理水の海洋放出が始まって1年になるそうである。これまで八回だか放出されたそうだが、中国などの反発は消えず、帆立貝などの輸出は完全に止まったままだそうである。

 この放出については私も私なりに、初めから疑問に思っていることがある。それは、それまで海洋汚染を恐れて次々とタンクを増設して保管していたのに、敷地が一杯になったからといって、どうして海洋投棄して良くなったのであろうかということであった。

 ALPSによる汚染水の処理は早くからやっていたことだし、処理水を海洋に放出できるものなら、何もタンクが敷地に一杯になるまで待たなくとも、もっと早く海洋放出すべきだったであろうし、海洋放出が許されないものであれば、たとへ敷地がいっぱいになったからといっても、地中に埋めるなり、何か他の方法を考えるべきだったのではなかろうか。

 お金の問題が絡んでいるのであろうことはわかるが、ギリギリ一杯のところまで待って海洋放出すれば、周囲に疑いを起こすのは当然ではなかろうか。

 またもう一つの疑問はトリチウムの濃度のことばかり言って問題がないとしているが、処理水の中にはヨウ素129、ルテニウム106、テクネチウム99、その他の放射性物質も残っており、放出された放射性物質半減期の長いことを考えると、放出された物質がなくなるわけではないから、放出された後の海洋での蓄積をも考えるべきではないのだろうか。

 殊に半減期の長い放射性物質については長期にわたる蓄積も問題にすべきではなかろうか。チェルノブイリ原発事故でも、物理的な半減期が30年とされるセシウムの放射性が今も強く残り、環境的半減期は160〜320年とされているようなことも分かっている。濃度より放出される物質の絶対量をも問題とすべきではないのだろうか。

 海洋投棄については、科学的に無害と考えられているプラスチックの海洋投棄も現在その広範な蓄積が問題となって来ている。中国の海洋投棄に関する反応がオーバーだとしても、今からでも遅くない、日本も、もっと詳細に検討し、より安全な誰にでも納得のいく方法を考えて実行し、理解して貰うようにすべきではなかろうか。

 以前から気になっていたことである。