SNSの怖さ

 東京都の知事選挙だというのでSNSでその様子を見ていると、現職の小池知事は全くと言って良いほどSNSには姿を見せない。隅田川からかの船上からの呼びかけを一度見ただけであった。

 それに対して、革新陣営の蓮舫候補者の選挙活動は、日とともに街頭演説に集まる人の数も増えるようだし、これまでの選挙では見られなかった街頭でのポスター提示の宣伝による個人的な応援なども目立ち、思いの他、盛り上がっているようで、この調子でいけば、あるいは蓮舫さんが勝利するのではないかとさえ思われるような情勢に見えたが、蓋を開けて見ると、小池知事の圧勝で、蓮舫氏の得票は小池氏の半分にも届かず、広島県のどこかの市長をしていたという石丸氏が2位で、蓮舫さんは3位という結果であった。

 これを見てつくづく思ったのはSNSの恐ろしさであった。私が見ていたSNSの画面では蓮舫氏の応援演説ばかりで、他の選挙関係の情報は殆どなかったといっても良い。連日、蓮舫氏の街頭演説で無数の人々が色々なターミナルなどに集まる大群衆となって蓮舫氏の演説を聴

くといった図式が、これでもかこれでもかと言わんばかりに繰り返され、他の候補者についてはほとんど出てこない。これではひょっとしたら蓮舫氏の勝利もありうるかもとの感じを抱かせるほどであったが、蓋を開けてみると現実は厳しかった。

 SNSは似た情報を見れば見るほど、それに近い情報が優先して出て来るようになっているので、見れば見るほど情報が偏ってくることを忘れてはいけない。

 また、今回の選挙で2位になった石丸氏についてはSNSなどを巧みに使って有利に戦ったとされているのに、私にとっては、新聞紙上で広島県のどこかの市長をしていた人物で自民党が対抗馬の票を割るために送り込んできた候補者ぐらいの認識しかなく、こちらから積極的に調べようとしなかったこともあるが、SNSで石丸氏の意見を聴いたこともないし、他からの評判を聞いたこともなかった。選挙についてもそれだけ偏った情報を見せられていたということになる。

 石丸氏については今のところ私は詳しい政策や抱負について何も知らないし、どういう人物なのか判断のしようもないが、その人物よりも、あれだけSNS上で騒がれたと言われる選挙活動についても全くわからないが、若い人たちの情報の取得方法や考え方などをうまく取り込んだ結果のように見えるだけに、その核心を知りたい気がする。

 時代がそれだけ変わってきてしまっているのであろうか。SNS報道の評価、その偏りに注意すべきことに改めて気付かされるとともに、SNSを通じた情報の流れやその影響についてももっと注意を払って観察していく必要のあることを考えさせられた。