SNSに上のような、元政治学者ローレンス・ブリット氏という人が書いた「14のファシズムの初期徴候」という箇条書きが載っていた。元々同氏が2003年に書いた記事が元のようで、米国のワシントンのホロコースト記念博物館に掲示されているものだそうである。
SNSにこれを載せた人も、そう思ったから載せたのであろうが、今の安倍政権のやり方にあまりにもそっくりなのに驚かされる。最近世相が次第に戦前に似て来たのを肌で感じているが、これに照らし合わせてみると、この国はまたあの破滅に向かって走り出そうとしているのかと戦慄を感じざるを得ない。
街には強情なナショナリズムの右翼の宣伝カーががなりたてて走っているし、靖国神社に国会議員が大挙して参拝に行く。閣僚の大半が右翼の日本会議のメンバーであることなどはあからさまな事実である。
人権の軽視は、沖縄の再三の反対する民意を全く無視した辺野古埋め立てや、街頭演説にやじを飛ばしただけで警官に排除された事実があちこちで見られたことや、「あいちトリエンナーレ」での一方的な補助金交付の取り止め、さらには「桜を見る会」などの国会追求などで、政府が全く答えないで隠蔽を図るなど、国民の人権を無視した行為は挙げればきりがない。
軍事優先も最近ますます露骨になってきた。自衛隊の増強だけでなく、中露、韓国、北朝鮮などを敵視して愛国を煽り、軍事優先でアメリカの言うなりに過剰な武器を買い、先島に自衛隊の基地を作り、イージスアショアを建設するなど、民政を無視した軍備の増強が止まらない。
性差別は今も横行し、世界の進歩にも遥かに遅れ、性的被害も未だに男性優位のまま放置されている。報道機関のトップが政府に買収され、メディアの放送はますます偏り、政府の報道伝達機関になり下がった感さえある。
一方で、国民への監視機構はますます進み、何か事件が起これば必ず街頭の監視カメラの映像が出てくる時代になっており、法的にも安保法などによって、戦前の治安維持法に似た制度が既にに作られており、いつでもその適応を広げられるようになっている。
宗教と政治の関係については、政府の閣僚の大半が神道連盟のメンバーであることだけでも十分であろう。靖国神社参拝も、外国の反発を考えながら執拗に続けられている。天皇の政治的利用も次第に強くなって来ている。
企業の保護や労働者の抑圧については、大企業に対する減税、企業に有利な種々の法律、益々ひどくなる労働条件、低賃金に、過重労働など、実態を見れば詳しい説明さえ必要でない。
また、学問と芸術の軽視は大学の法人化、予算の減額、「あいちトリエンナーレ」で見るような政府の一方的な補助金の削減、表現に自由の抑圧を見れば明らかであろう。
犯罪の厳罰化への執着は、世界の趨勢に反しての死刑の継続が見られるし、入局管理局による不法移民に対する非道とも言える取り扱いは人道上も問題である。
更には、身びいきの横行と腐敗は、今まさに問題となっている「桜を見る会」の成り行きを見るだけで、誰の目にも安倍内閣のやっていることがよくわかる。官邸への権力の集中、それによる過剰な官僚の忖度で、政治は大きく曲げられている。
不正な選挙では、選挙制度自体が小選挙制度で自民党に有利になっており、棄権する人が多いことが政権を支えているが、それでも選挙違反で問題になる自民党議員は後を絶たない。
こう見てくると、まさにここに書かれている通りなのが現情で、今や日本はファシズムの初期症状が出ている真っ最中だということが言えるのではなかろうか。一人でも多くの人がこれを敏感に感じ取り、ここらでこの傾向に歯止めをかけないと、この先どうなることか。これ以上進めば、もはや誰にも止められず、戦前の日本同様に、また破滅の淵まで行ってしまう恐れ十分である。
何とかならないものだろうか。