最近しきりに「日米一体」などということが言われるようになったが、それが如何に将来の危険を意味しているかについては殆ど報道もされない。
「日米一体」と言っても、日米は決して対等ではないことを知っておくべきである。「日米一体」とはこれまで以上に日本がアメリカに従属することを意味しているのである。指揮命令系統までアメリカの指揮下に置かれ、日本の判断よりアメリカの指示により、日本が指示通りに動くことを強制されることになる訳である。
対中国のアメリカの政策にも乗せられるわけで、もし台湾問題や中国との矛盾がひどくなった時には、日本は日本の政策よりも、アメリカの方針の下で、その命令に従って、場合によっては中国と一戦さえ交えなければならないことになるのである。
戦場になるのは沖縄なり、日本本土や中国大陸ということになる。必然的に日本やその周辺は修羅場となり、勝とうが負けようが、多大な被害を受けざるをえない。ここで考えてみよう。アメリカ軍に取っては外地である。第二次世界大戦の時にマッカーサーガ I will returnと言って、アメリカへ逃げ帰った歴史を思い出して欲しい。アメリカは万一不利とあらば、いつでも逃げられるが、日本は戦場にされ、逃げることは出来ない。
最早、中国は日本が勝てる相手ではない。日本は戦場となり、再び国土は焦土となり國民は餓え死にすることになりかねない。アメリカは逃げられるが日本は逃げられないことを知るべきである。
そういった未来が明らかに見通せるのに、アメリカの尖兵となって台湾や中国本土に先制攻撃まで仕掛けようというのであろうか。中国大陸の大きさや中国の発展と、日本が小さな島国であり、食料自給も出来ない国であり、人口減少の高齢社会である上に、海岸線に並んだ原発を見れば、日本が攻撃されれば、いかに酷い目に遭うかが容易に想像出来るではないか。
アメリカは遙か彼方の太平洋の向こうの国である。日本がどうなろうと困ることはない。
そんな素人にも明らかな事なのに、日本政府は嬉々としてアメリカに従おうとしているのである。他方、戦争の防止に必要不可欠な中国との外交交渉は落ち込んだままである。最近の相互往来でも、政府関係者の往来は台湾への百人単位に対して、中国へは十人単位しかないとか言われている。
「日米一体」を押し付けられても、対中外交は日本の生存のために不可欠なものである。アメリカは米中対立の中でも、対中外交にも力を入れている。日本もせめて中国と強い外交の絆を作って友好関係を維持すべきである。そうでなければ、本当にこの国の終わりが来てしまうのではなかろうか。
将来が本当に心配である。