日本は ”ニホン” か ”ニッポン” か

 最近自衛隊だったかが「大東亜戦争」といって問題になり、すぐ撤回して「太平洋戦争」と言い直した。ところが「太平洋戦争」という呼称は戦後アメリカでの呼び名がそのまま定着されたもので、これでは戦争の重要な部分である日本が侵略したアジアでの戦争がすっかり抜け落ちてしまうことになる。

 その方が都合が良い人たちがそのために「太平洋戦争」をそのまま容認してきた面もあるが、それでは戦争の大事な部分が割愛されてしまうので、最近はようやく「アジア・太平洋戦争」という呼称が用いられる傾向もあるようである。長らく「大東亜戦争」とは言えないし、「太平洋戦争」ではどう考えても不十分なので、満州事変の日本の侵略開始から敗戦までの年月から「十四年戦争」という呼び名も工夫されてきた。やはり日本から見て「アジア・太平洋戦争」とでも呼ぶのが一番実態に近いのではなかろうか。

 

 それに絡んで、「日本」の読み方ついても「ニホン」か「ニッポン」かという議論も起こっているようである。しかし、これについては、私ははっきり「ニッポン」ではなく「ニホン」と呼ぶべきだと主張したい。

 日本は「ニホン」「ニッポン」いずれにも読めるし、これまであまり区別されずに随意に用いられてきた面もあるが、昔から多用されてきたのは「ニホン」の方ではなかろうか。「ニッポン」の方は誤った道を歩んだ大日本帝国で多用され、日本の国威発揚に利用されることが多かったので、それを払拭させるためにも特別のことがなければ、日本は「ニホン」と呼ぶべきで「ニッポン」は避けるべきだと思う。

 「ニッポン」と聞けば、「大日本帝国万歳!」のからいばりの声がいまだに聞こえてくる。歴史的に見ても、「ニッポン」より「ニホン」と読んだことの方が多かったのではなかろうか。我々が子供の頃も戦争が始まり激化していくに連れて「ニホン」が少なくなり「ニッポン、ニッポン」という連呼の声が強くなって行った様な気がする。

 たかが呼び方の問題ではないか。戦争を知らない現代の人たちにとっては、どちらでも良いではないかという意見も当然あろうが、二度と繰り返して欲しくない戦争が、あまりにも「ニッポン」に結びついてしまっているので、矢張り私は「ニッポン」を避け「ニホン」と言って欲しい。

 オリンピックの試合などの声援で「ニッポン頑張れ、頑張れニッポン」などの声援を聞くたびに、戦時中の「ダイニッポンテイコク・バンザイ」や「ニッポン・バンザイ」の響きが、聞こえてきて、嫌な思いをさせられるのはもう私だけであろうか。