免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)とCOVID19予防接種

 今年の正月突然頭記の病気に罹患してしまった。それまで歳を取っても、これといった病気もなく健康に暮らし、薬もビオフェルミン以外に何も飲んでおらず、1年に一度の老人検診でも、年とともに少しづつ衰えて行く腎臓の機能の低下などの他には何の異常もなく、健康に経過して来た。

 それが今年の一月、突然にこの病気の発症で、二度も入院せねばならなくなってしまった。12月にトライウオーカーという馴染みの歩行補助器で歩行中に、車の前輪が歩道の真ん中にあった溝カバーの隙間に嵌頓し、その結果前方に転倒した事故と関係があるのかどうかわからないが、今年になって、ある朝起きたら突然に両方の大腿の付け根から足先までが点状出血班に覆われていることに気づいたのが始まりであった。

 その後、手足などあちこちに出血による紫斑が出たり、粘膜の出血も伴い、貧血が進み、3月になって調べて貰ったら、血小板が普通20〜30万ぐらいあるものが、僅か千しかなく、上記の病気と診断されて入院の運びとなったのであった。

 ところで、毎年、年に一度の老人検診を忠実に受けてきたが、例年、血小板は15〜16万ぐらいあり、昨年10月にも変わりなかったものが、今回急に千になっており、どうしたことかと疑問に思われた。

 丁度、昨年10月21日に7回目かのCOVID19(コロナ)の予防注射を受けており、一部で予防注射の副作用も言われているので、それとの関連も考えなければならない。その場合には、文献によると血栓を伴う血小板減少症が稀に起こることが書かれているが、血栓のない血小板減少については記載が見られないようである。勿論、臨床的にサイレントな血栓もあるから、私の場合、血栓を伴わないからといってCPVID19予防注射との関係を否定するわけにもいかない。

 また免疫性血小板減少性紫斑病との関連で有名なものとして、ピロリ菌との関係が言われているが、たまたま私の便を調べて貰ったら陽性だったので、その関係も考えられる。しかし、近年はピロリ菌の感染は減っているようだし、昔の古い感染なら、これまで胃に関する病歴は何もなかったことを考えれば、今頃になって急に古いピロリ菌が悪さをすることも可能性としては少ないであろう。

 年のためピロリ菌の除菌はしたが、どう考えてもそれとの関係は薄いとせねばなるまい。

そうすると、やはりCOVID19予防注射の副作用の可能性が捨てきれないが、そうかと言って、どんな予防注射にしても副作用ゼロということは考えられないし、予防注射のお蔭もあって世界中のコロナ大流行が抑えられたことを考えると、それを非難するわけにもいかない。

 むしろ副作用が現役の働き盛りの人に現れずに、95歳の老人が貧乏籤を引いたのであれば、社会的に見ればラッキーだったと言えるかも知れないであろう。事実を追求することは難しいが、予防注射のために起こったのだとしても、これも一つの運命かと思わざるを得ない。