手紙を出すのも大変

 歳を取ると手紙一つ出すのも大仕事になりかねない。

 入院中に貰った見舞いの返事を出さなければと思いつつ、のびのびになっていたが、今日やっと返事の手紙を書いた。

 最近は歳をとった上に、何でももパソコンで済ませ、手書きすることが少なくなったので、字がますます下手になったこともあり、手紙もパソコンを使い、署名だけ自筆ということにしているが、手紙を書くこと自体めっきり減ってしまっている。

 そんな訳で、今回も早速パソコンで手紙を書いて出そうとした。ところが文章は出来たものの、印刷しようと思ったら、プリンターが動かない。もう最近はプリンターを使うことも少ないので、覆いをかけて置いているので、それをとって、電源を入れ、動かそうとしたが動かない。

 どうもインク切れのようである。それを確かめるために、インストラクションの案内を調べたり、プリンターを開けたりして、予備のインクに変えようとしたが、5種類のインクのうち2種類のインクがない。いつもは予備のインクを必ず備えていたのだが、最近は入院などしていたこともあって、プリンターを必要とすることもなかったので、インクの予備をチェックする機会もなかった。

 以前なら慌てて梅田のヨドバシカメラまで飛んで行くところだが、今では危険を避けるため一人では梅田まで行かして貰えない。娘に頼もうとも考えたが、娘の予定もわからないし、インクといっても複雑で、同じ番号でも6色のと5色のがあったりする。やはり自分で直接見て求めたい。

 さて困ったものだなと考え込んだが、良策も見つからない。返事の手紙があまり遅くなるのも困る。仕方がないので、パソコンを諦めて、下手くそな文字でも手書きに書き換えるより仕方がない。ところが今度は、最近は手書きの手紙など滅多に書かないので、便箋が見当たらない。仕方がないので、昔に貰った大きいめのメモ用紙で間に合わせることにした。

 ようやく書き終わって、今度は封筒を探し、切手を貼り、郵便番号を調べ、宛先などを書いてやっと出来上がり。それを持って、今度は杖をついて、近くのポストまでヨタヨタ行って投函してやっと終わりになった。これだけでもう2〜3時間も費やしたのではなかろうか。起居動作が遅い上、全て段取りも悪い。

 若い人たちは老人は暇で良いなと思うかも知れない。しかし、老人は何をやらしても効率が悪く、時間がかかるのでそれなりに忙しいのである。こんなことをしている間に、もう夕方が近づいてくる。何も大したことをしていないのに、時間だけは歳を取るほど速く過ぎ去っていくもののようである。

 老人は何もしていないように見えても、それなりに結構忙しいのである。