私はもう昭和の時代から池田市(大阪府)に住んでいる。両親が亡くなってから、その趾地で建て直した家だが、池田駅から300〜400米ぐらいの近くである。
池田市は呉服、綾羽の機織り伝説以来の古い歴史を持った町で、城跡もあり、その後の歴史も豊かで、山も川も古墳もあり、古い街並みも揃った、人口約10万人の街であるが、東は箕面市、西は兵庫県の川西市に挟まれ領域は比較的狭い。
まだ現役で働いている頃には、朝出かけて夜帰るような生活が続いていたので、地元の事情には薄かったが、歳を取り退職して家にいることが多くなり、行動範囲も狭くなって来ると、自然に地元の様子が肌身に感じられるようになって来るものである。
買い物も日用品や食事などをはじめ、近くで用立てることが多くなるし、散歩のコースも自然と近くのあちこちということになる。それまで知らなかった街の様子にも次第に詳しくなって来る。
そうなってきて知ったことは、池田市というのは阪急池田駅周辺に、生活に必要なあらゆるものが備わっている便利な街だなということである。ここだけで、日常生活上必要な物や事がほとんど全て賄えるのではないかと思える。
体の弱った老人には持ってこいの場所と言えるかも知れない。池田駅前には銀行なら三菱UFJ、三井住友、すぐ近くにはみずほもあるし、池田泉州もある。スーパーも駅に直結してダイエーとオアシスがあるが、来年には関西スーパーも出来るらしい。
市役所も商工会議所も近いし、公民館も駅にほぼ繋がっている。郵便局や税務署も駅から2〜3分、ドラッグストアやコンビニも何軒もあるし、レストランや喫茶店には事欠かない。画廊まで2軒も備わっている。
例えば、A銀行で年金を引き出し、B銀行で送金し、市役所へ行って必要な手続きをし、税務署で確定申告をし、郵便局から小包を送り、ついでにコンビニでコピーを取って、帰途、スーパーで買い物をして、おまけにドラッグストアでトイレットペーパーを買ってと思って出かけるとしても、あちこち小廻りするだけで、老いた足でも疲れるほど歩き回らなくても、駅周辺だけで全ての用事をこなすことが出来るのが有り難い。
女房がコンパクトシティだと言い出したが、正にその通りである。老人にはもってこいの街ではなかろうか。そのためでもあるまいが、昼間の池田は、どこへ行っても老人ばかりである。杖老人にシルバーカーが続き、その後が若者に支えれて歩く老人、腰が曲がっているのに買い物袋を両手にぶら下げて行く老婆が続く。
こうした年寄りにとっては、本当にありがたいコンパクトシティである。