平和国家が武器を造り輸出する

 まずは日本国憲法(1946年公布、1947年5月3日施行)をみてみよう。国民主権、平和主義、基本的人権尊重を柱とするもので、その平和主義の基本となるのが第九条である。

日本国憲法第9条:

第一項:日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

第二項:前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」

 これが日本国の国際関係における武力や交戦権の基本となる法的な決まりで、国が守らなければならない決まりであるり、今もそのまま生きているのである。

 ところが現実はどうであろう。「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と明記されているのに、

2014.7.2  

 私には法の解釈の詳細は分からないが、憲法の99条には「憲法尊重擁護の義務」として「天皇または摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」とも書かれている。

 それを踏まえるなら、常識から考えて、どう屁理屈をこねても、明らかな軍隊を持ち、先制攻撃も辞さず、武器を増強し、それを外国にまで輸出するということが、憲法に違反しないと言えるのであろうか。国務大臣も国会議員も憲法を擁護する義務を守っていると言えるのだろうか。

 常識から見れば、この現実と国民と政府の約束である憲法の矛盾はあまりにも大きく、誰が見てもおかしいと思うのではなかろうかか。それにもかかわらず、国民が政府の屁理屈を受け入れて、ここまで来てしまったのはなぜだろうか。

 今では、憲法の方を変えてまで、軍備増強、敵基地への先制攻撃を可能にしようと企みが進んでいるようだが、平和憲法のままで、平和に暮らす方が国民にとって遥かに良い方法で、何も軍備を増強しなければならに必然性はないのではないか。

 軽視されている周辺国との外交にもっと力を入れて、日中親善をはじめ、アジアの平和的発展に貢献することは十分可能であり、それこそ平和憲法の趣旨にも沿うことであり、国民の平和な生活を保障するものではなかろうか。憲法は平和をうたい、国民も平和を望んでいる。何もアメリカの尖兵となって軍備増強などする必要はない。

 平和憲法を持った国が大量殺戮の武器を作り、それを外国にまで輸出して儲けようとするなど許されざる憲法違反ではないか。いくらアメリカから言われたからとしても、世界情勢が変化して軍備増強が必要なのだと言っても、折角これまで国民の平和な生活を守ってきてくれた平和憲法を蔑ろにすることは許されるべきではない。