嫌な予感、この国はどうなる?

 今年の正月は天気は良いし暖かく、近くの神社も初詣の人たちで賑わい、家族で御神籤を引く姿なども目についた。今年こそ沈滞し切ったこの国も、少しは良くなる気配でも見せてくれたらと思っていたら、正月早々から能登地方の大地震に見舞われてしまった。

 夕方机に向かって、こちらから出していなかった人への年賀状を丁度書き終わった頃に、急に微かに椅子が揺れるのを1〜2度感じ、何だろう、地震の前触れかなと思って、急いでヒーターのスイッチをきり、しばらく様子を見たが何も起こらない。

 しかし東北地震の時に、美術館の地下で感じた気持ちの悪さを思い出し、ひょっとしたらどこかで大地震が起こったのかも知れないと思い、しばらくして隣室へ行ってTVをつけたら、能登地方の地震の報道が始まっていた。「津波があります、すぐ逃げてください」と繰り返していた。

 それから夜まで地震の放送をずっと見続けることになてしまっていた。そしたら夜になって、今度は急に地震の放送が中断され、羽田空港の映像に変わった。はじめは滑走路で火災が発生しているのが映し出され、そこから少し離れて飛行機が止まっておりそちらも煙に包まれ消火活動が行われていた。

 始めは何がどうなっているのか分からなかったが、そのうちに札幌からの日本航空が着陸時に何かにぶつかったのか急に滑走路に火の玉が上がり、飛行機が火に包まれた様にして滑走路を行く映像が何度も映し出された。

 それからは地震の報道はそっちのけで、今度は空港の映像ばかりとなった。正月で帰郷していた人も多いだろうがら、これは大変なことになるぞと心配になった。そのうちに火はどんどん広がり機体を包んでいく。乗客が心配であったが、日頃の訓練の賜物で三百人を超える助客すべてが90秒以内に脱出し全員が無事事だったと聞いて安心した。

 正月早々大きな事故が立て続けに起こり何だか嫌な気分になった。まるでこの国の今年の運勢を暗示しているかの様で暗い気持ちになった。地震は天災で仕方がないとしても、空港の事故は人災である。この国の今年を象徴しているのかも知れない。

 頭をガツンとたたかれた様な気がしたのは私だけであろうか。ただその中で日航機があの惨事の中で乗客全員の安全を守れたことは快挙だったと言っても良いのではなかろうか。そこに僅かでも希望を託したいような気持ちになった。それにしても、今年は正月早々本当に大変なことであった。