災害対策を優先させよう

 今年の夏は6月に桜島の噴火が起こり、今度は従来の噴火口と違って、頂上に近い新噴火口からの噴火だと言っているうちに、6月18日には大阪北部地震が起こり、茨木、高槻あたりでは結構、家屋の損害も出、ブロック塀の崩壊で児童が亡くなる悲劇などがあって、夏の初めから災害付いていたようである。

 その後、もう7月になって本格的な夏に入ると、今度はこれまでにない史上初の猛暑が続き、8月には熊谷で41.1度という過去最高温度を記録し、その後も、ほぼ毎日のように猛暑が続き、熱中症で倒れる人も多かった。

 それに伴うように、台風がこれまでよりはるかに多く来襲し、8月中にすでに20号を越えてしまった。しかも、7月には台風により岡山県愛媛県に洪水をもたらしたかと思うと、9月4日の台風21号では関空の滑走路の水没やタンカーの連絡橋への衝突で、空港の運営が危ぶまれる事態となった。

 この夏は、これらにさらに追い打ちをかけるように、台風が北海道を去った次の日に、今度は大地震が北海道に起こり、地滑りが大きく、大勢に人命が失われたり、北海道全域での停電が起こったりした。

 ここのところ、日本はまさに災害大国だと言っても良いぐらいである。しかも、気になるのは、かかる気象異常が日本に限ったことではなく、地球温暖化の影響があるのか、全世界的なものらしく、世界のあちこちで異常な熱波や大雨、洪水、異常寒波などが言われている。

 しかも、最近の九州や北海道などの内陸地震は、予想されている東南海地震のような巨大地震とも関係があると言われ、その東南海地震の確率が80%で、これはもういつ起こってもおかしくないものだとまで言われている。

 こうなると、もはやこのような現象は今年だけのことではあり得ない、すでに起こった災害に対する対策だけでなく、ここらでもっと本質的なことを考え、その対策を立てなければならないのではなかろうかということになる。

 しかし、これらの巨大自然災害に対する対策はなかなか進まず、情報の発信や伝達方法、非常時の起きた時の対策が主に語られても、災害そのものを抑えることは出来なくても被害を軽減させる対策はなかなか立てられないままになっていると言っても良いのではなかろうか。

 災害が起こってから、これまでに経験のないとか何十年ぶりだとか、そのため仕方がなかったかのようにいうような発表が多いが、これだけ世界的に状況が変わってきたのであれば、災害に対する対策も、受け身の対策だけでなく、これまでと違った積局的に災害の予防、被害を軽減させる方策を考え、実行していかなければならないのではなかろうか。

 第一には、岡山の真備町のように以前から危険を予想されていたにも関わらず延期されていたような所の防災対策は早速実施すべきであろうし、何十年ぶりの危険性であっても、危険が予想されるところにはより強化する手を打つべきであろう。これまで考えられてきた防災上の安全域も見直して、これまでよりも安全域の余裕を大きくするように見直す必要もあるのではなかろうか。

 さらには、これまであまり顧り見られなかったような安全上の見落とし点も再チェックする必要があるのではなかろうか。何年振りにしか起こらないというような基準も再考してみるべきではなかろうか。

 政治にとって最も基本的なことは国民の生命、財産を守ることである。外交力を高め、近隣諸国との平和を維持し、極力軍事費を抑えてでも、国内の災害予防への投資が優先されるべきであろう。

 例えばイージス・アショアの購入を止めれば、災害予防のためのかなりの予算は賄えるはずである。地球環境の変化に対応して、国民の命と安全を守るために、真剣に災害対策を考えなければならない時が来ているのではなかろうか、