危険な未来

 日本は戦後、平和憲法を作り、軍隊を持たない国となったのに、アメリカに従属し、アメリカに言われるままに、折角の平和憲法を無理な解釈をしてまで、アメリカの政策に追随して来たが、何とか戦後78年もの間一度も戦争をせずに、平和を維持出来てきたことはこの平和憲法があったお蔭であり、それはそれで素晴らしいことであった。

 しかし、最近はアメリカの衰退、中国の発展などが進み、日本はアメリカの対中国戦略の一環として組み込まれ、日に日に危険な方向に進んでいる。今の岸田政権になってからも、軍事費の国家予算の2%への増額、反撃能力、敵基地先制攻撃も可能とすることなどが、国民への説明もなく決められ、アメリカ軍の中古ミサイルを買わされ、沖縄のあらゆる島に自衛隊の攻撃用の基地が造成され、民間空港まで含む、米軍や自衛隊の基地の共同使用が既に行われ始めている。

 更には米日韓の連携も強められ、米日豪にインドを加えて AUCASも組まれ、フイリピンやオーストラリアとの海軍の共同演習も行われている。日本はアメリカの中国包囲網に次第に強く組み込まれて行きつつある。

 最近の新聞を見ても、『防衛事業の拡大「想定以上」』などと大書され、三菱重工の受注5倍とあり、川崎重工業が建造した潜水艦の写真が載っていたし、武器の輸出も次第に公然化してきている。

 更には最近の新聞記事を見ても、『日米韓訓練計画の年内作成へ一致、防衛省会談「1月から実施」。ミサイル情報共有「来月に」とか、民間空港で統合演習、4ヶ所で米国とインフラ共同利用加速、行き交う迷彩服姿物々しく』などともあり、米国の進める中国包囲網はどんどん進められ、がんじがらめになっていきつつある。

 最早「新しい戦前」という言葉もあるぐらい、戦争の準備がなされ、戦争をしないとする平和憲法も無視され、憲法を守ってこなかった政府が、憲法が時代に合わないから改正すべきだという声まで出ている。

 アメリカによって作り上げられた台湾問題も、アメリカも日本も台湾が中国の一部だということを認めているのであり、貿易面でも日本は中国に大きく依存しており、仮に中国が台湾統一をしたところで、日本が直接損害を受けることはなく、あくまでも中国の国内問題である。

現在のところ、日本が中国と戦ってまで守らなければならない本質的な矛盾は見当たらない。

 しかも、全面的な戦争となって日本が中国に勝てる公算は先ずない。そこまで行かなくても、前線基地である日本は壊滅的な被害を受けることも避けられない。日本は島国であり、資源に乏しく、食料自給率は35%に過ぎないことも知っておくべきであろう。おまけに長い海岸線に沿っては何十基と原発が並んでいるのである。

 対中国戦略で見れば、アメリカにとって日本は前線基地に過ぎず、不利とあらばいつでも撤退すればよいが、日本は逃げられない。第二次世界大戦アメリカの植民地であったフイリピンがどんな被害にあったか思い出すべきであろう。マッカーサーは"I`ll return " といってアメリカへ逃れ、後で引き返して来た歴史も思い出すべきであろう。

 しかも、自衛隊アメリカの指揮下で戦うのであり、決して国民を守ってはくれないことも知っておくべきである。アメリカは中国との全面戦争は避けるだろうと思われる。第三次世界大戦は人類滅亡につながるであろうからである。

 それより、アメリカはウクライナ戦争から学んだ代理戦争を戦わせようとするであろう。アメリカの兵士は傷つけず、武器を売って大儲け出来るからである。被害は基地を置かれ戦わせられた日本が背負うことになる。

 台湾を巡る戦争に関しては、アメリカに逆らってでも、日本は中国や近隣諸国との戦争は絶対に避けるべきである。戦争の準備よりも、もっと外交に力を注ぎ、無駄な抗争を避け、あくまでも相互友好の平和を保ち続けるべきである。