久しぶりのライブハウス

 娘がタンゴなどを踊っていて、その関係ででもあるのか、バンドネオンの演奏があるので一緒に行かないかと誘ってくれたので、昼間のことだったので行くことにした。

 私は学生の頃少しだけタンゴを習ったことがあり、当時、本町のあたりにあった大阪舞踏会館で、友人と一緒に舞踏会を催したこともあるので、ラテン音楽に縁がないこともない。

 それにバンドネオンと聞くと、もう死んでしまったが、医者の友人でバンドネオンの奏者がおり、時にバンドネオンの演奏を聴かせて貰っていたこともあり、懐かしい楽器でもあるのである。

 その友達は開業していたが、バンドネオンの演奏をあちこちで続けていたので、患者さんに「今日もまた休診だ」と言われていたようであった。

 そんなことで、今回は吹田の商店街に近いライブハウスで行われたコンサートを聴きに行ったのであった。バイオリンの金関環氏の主導で、バンドネオン川波幸恵、バイオリン安藤歌那、コントラバスむねたけまさひろ、ピアノ宮川真由美各氏の構成でのタンゴであった。

 クラッシックは今も時々聴きにいっているが、モダン音楽のライブ公演は本当に久しぶりであった。コロナの4年間の前を振り返っても、それよりずっと前にしか行ったことがないような気がする。

 大きなホールでのクラシックと違い、ライブハウスの演奏は、すぐ近くでの目の前で演奏されるので、臨場感がまるで違う。静かにクラシックを聴くのも良いが、すぐ前での音楽はやっぱり迫力があって心へ強く響きかけるのが良い。

 今春だったか、兵庫芸術劇場へ行った時、座席が後方の上階の下のような所で、こちらの聴力の衰えのせいもあり、折角の演奏が聴き取り難くがっかりしたことがあったので、今回は補聴器を持って行こうと思いつつ、出がけに忘れてしまっていたが、ライブハウスではそんな心配は全く無用であった。

 今回はロドリゲスのラ・クンパルシータは勿論のこと、南米のタンゴから、ヨーロッパ・タンゴまで色々と聴かせて貰って堪能したが、何といっても巨匠のアストル・ピアソラの「ブエノスアイレスの四季」や「天使のミロンガ」「アディオス・ノニーノ」など哀愁を含んだタンゴの響きはやっぱり良かった。

 もっと早く終わる心づもりをしていたが、終わった時には外へ出るともうあたりは真っ暗だった。最近は夜に外へ出ることがないので、久しぶりで夜の巷を眺めながら家路に着いたのであった。