軍備増強より積極的外交を!

 最近の日本の軍墓増強は恐ろしいほどである。どう見てもこれが戦争を放棄した平和国家の姿とは思えない。戦争をするために平和憲法を変えようとする動きさえある。

 沖縄や先島諸島には広範囲に自衛隊の基地が作られ、ミサイル基地が各地に建設され、どこからでも敵基地に対する先制攻撃も可能と言われている。当然、弾薬庫や、反撃に備えての

シェルターなども完備されるようだが、住民用のものはなく、住民に対しては島からの退避、脱出が考えられているようだが、それは後回しのようである。

 場所が先の大戦で過酷な犠牲を払わされた沖縄であるだけに、住民の反対を知りながらの政府の強行姿勢が問題となるが、民意などは全く無視され、アメリカに言われるままに、国会での議論もないままに、事が進められている。

 これらは今のところ、台湾有事に備えてと言われているが、そのために、日米韓、日米比、日米豪などの共同軍事訓練なども整備して、中国包囲網を作り、中国の太平洋への進出を抑えようと進められている。

 それに伴い、軍事費の増強も顕著で、国家予算の2%にすると言われている。武器の製造や共同開発なども拡大され、その輸出もされている。アメリカや同盟国の艦戦の修理などのメインテナンスも出来るようにし、イギリス、イタリアとの共同開発が進みつつある戦闘機の輸出も見込まれている。

 さらには主権の一部を放棄してまで、日米軍の指揮系統を統合し、アメリカ軍の命令下に自衛隊が戦わされる組織化まで進められている。いつ戦争が始まってもアメリカ軍の指揮下で自衛隊が戦わされる準備が出来上がりつつあるのである。

 ところがここで一歩身を引いて、日本の近隣の世界情勢を見てみたらどうだろう。台湾問題が盛んに取り上げられているが、日本もアメリカも、中国と台湾が一体であることは今も認めていることであり、現時点で、中国が日米などと戦争をしてまで、台湾へ武力侵攻しなければならない必然性は考え難い。

 更には、現在の日本が外国と戦争のできる国かどうかを考えてみると良い。少子高齢化で人口減少のこの国が、戦争向けの国でないことは明らかであろう。それに日本が台湾や中国を攻めなければならない必然性がないではないか。

 その上、日本は島国で戦争になって、海で周囲を遮断されれば、忽ち国民は飢え、産業は止まってしまうであろう。先の大戦で嫌というほど経験させられたことである。それに日本の長い海岸線に沿って、陸上に固定された原子力発電所がいくらも並んでいるのであろ。若狭湾の原子炉が一箇所でも破壊されれば、それだけで日本は放射性汚染でお手上げになるのではなかろうか。

 どう考えても、日本が戦争を始めて勝てる公算はないどころか、どう考えても先の戦争以上に惨めな敗戦、滅亡が待っていることは間違いないところであろう。

 アメリカにしても中国との本格的な戦争は望んでいないであろう。むしろ、軍備増強で抑止と同時に軍需産業に儲けさせ、経済の発展、世界の支配の永続化を図りたいのであろう。過去から続く歴史からアメリカの意向に従わざるを得ない部分もあろうが、それはそれとしても、そのおこぼれに預かることよりも、もっと独自の外交に力を入れて、戦争を防止し、平和を維持することに力を注ぐべきではなかろうか。

 日頃の外交努力をもっと積み上げて、隣国との平和な経済外交、友好関係を積み重ね、平和を維持して何ら損失はないのである。それどころか、隣国との友好関係、経済連携こそが共存共栄の道であることはあまりにも明らかである。