男の化粧

 この間何とはなしににテレビを見ていたら、男の化粧の話をしていた。昔だったら男が化粧するなど、女形の役者や、そうでなくても俳優が舞台でするのは別とすれば、普通に巷の男が化粧をするなど考えられなかった。男ならニキビがあったり傷跡があったとしても隠す必要はなく、地顔の方が男らしくて良いとされたものであろうが、どうも様子が変わってきた様である。この分では、やがて男も化粧するのが当たり前の時代がやって来そうである。

 最近の男優は日本でも韓国でも皆やさ男である。そこに付け込まない資本主義はない。ここまで儲けるのが難しくなってきた資本主義は、需要を掘り起こさなければ生きていけないのであろう。自転車操業なので止まったら終わりである。生き続けるためには何としても新しい版図を広げなければならない

 仮に男も皆化粧するとすれば需要は2倍になるわけだから、こんな有難いチャンスはない。いつの日にか男も化粧しないでは外へも出れない日が来るのであろうか。

 最近のテレビや新聞の広告を見るとよい。いかに毒にも薬にもならない保健薬や医薬部外品の様なものの広告の多いことか、人の弱みにつけ込んで、あれば便利かなと思わせる様なもの、要するにあってもなくても良いようなものの広告の多さに驚かされる。

 そんなことで、いわゆるコモンと言われる領域にまで踏み込んでいるのが今の資本主義である。鉄道など公共の足なのだから、本来は社会が用意して人々にタダか低額で利用してもらう様にすべきものであるが、今や民営でない鉄道会社はない。経営の悪いJR線はどんどん廃線になっていっている。

 水や空気は万人にとって不可欠なものであり、我々が子供の時には井戸水はただだたし、水道水もただに近いものであったから、皆がただでガブガブ飲んでいたものであった。それが今ではどうだろう。今でも水道水は飲めるのに、殆どの人がお金を払って、ボトルに入った水やお茶やコーヒー、コーラあるいはジュースなどを飲むのが普通になってしまっている。

 もう今では資本主義はどこかで何としてでも新しい需要を作り出さねば生きていけなくなってきている様である。そのためには女が化粧しているのだから、男にも化粧させれば需要は倍になろうというものである。万々歳である。

 後はいかにして男に化粧したくなる様に仕向けるかである。色々問題はあるであろうが、幸い最近は日本でも韓国でもやさ男が流行りである。それを巧みに持ち上げ、引っ張り、誘導すれば、きっと成功してそのうちに自ら進んで化粧する男性が増え、やがては男も化粧するのが当たり前になって来るのではなかろうか。

 やがては将来、男も化粧するのが当たり前になって、政治家であろうと経済界の指導者であろうと、化粧しなければ人前へ出てくることが難しくなるような時代がやってくるのではなかろうか。