公園に入れない

 十一月三日は文化の日で3連休であった。丁度三日に千里の民族博物館のインドのガンジス川に関する映画と解説があると案内を貰い、応募して予約していたので、気候も良いし、紅葉もそろそろだろうし、万博公園で何かの花が綺麗だというニュースもあったので、少し早く行って公園をぶらついてから民博へ行こうと考えて、女房と一緒に出かけた。

 案の定、気候も良いし天気にも恵まれて人出も多かったが、モノレールの万博の駅を降りて万博のゲートに通じる陸橋を渡り始め少し進むと、前を見ると人だかりである。行列も次第に進まずやがて止まって橋一杯に拡がり、一向に進みそうにもなくなった。完全な渋滞である。 

 どうしたことかと思っていると、メガホンを持った係の人がやって来て「只今、公園は入場制限をしていて入れません。しばらくお待ちください」とメガホンで知らせ回っている。三連休の初日なので、公園で何かの催しをやっているのであろうが、それにしても、こんな広い万博公園に人が溢れ、入場制限までして、入ることも出来ないのかと驚かされた。

 そうだからといって入らないことには民博に行けないし、映画も見れない。 民博へ行くのだからと言って、入れて貰うにしても、それを言う入り口は遥か遠くで、人並みをかき分けて行ける様な距離ではない。

 おそらく、何か大掛かりな催しが公園内で行われ、三連休で季節もよく、天気にも恵まれた上、今やコロナからも解放されて、どこかでのびのびと開放感を味わいたいが、景気は悪く、円安で外国旅行は割高だし、近場で日頃の憂さを晴らそうと出かけて来た人が多かったのではなかろうか。 

 しばらく様子を見ていたが、人並みは一向に動き出そうとしない。陸橋の後ろからは続々と新たな人たちが押し寄せて来る。公園をぶらついてから民博へ行こうと考えて早く家を出ていたので、映画が始まるまでは時間は十分あったが、これだけ大勢の人だと、たとえ間に合ったとしても帰りの雑踏が怖い。若い時と違って、こちらは体力も落ちているし、足元もおぼつかない。それにトライウオーカーに頼っている。

 それに、このままどんどん人が増えてくると陸橋の上での雑踏が恐ろしい。「君子危うきに近寄らず」と決心して、民博へ行くのを諦めて引き返すことにした。代わりに何処かへよることも考えたが、井塚も同じで混むだろうと思ってそのまま帰宅した。予約していたので民泊へ事情を告げるメールを出したら丁寧に返事をいただいた。

 こんな混雑の予想される日には老人はどこへも行かずに、家で静かにしてよと言うことらしい。