コガネムシとカナブン

 最近ふと気がついた。昔は秋になって、まだ暑いので、夜窓を開けていると、時にブーンと羽音を立ってて、カナブンが飛んできて電灯の周りを飛んで、電灯の傘にぶつかって落ちたりすることがあったのが、懐かしく思い出された。

 今では何処の窓にも網戸があって、そういう経験はもう長い間なくなってしまっている。昔、子供の頃には、「コガネムシは金持ちだ、金蔵建てた、家建てた・・・」という歌が流行っていたこともあって、うちに飛んでくるカナブンも綺麗な羽の色をしているが、コガネムシというからには、どんなに綺麗なのだろうと思ったことがあった。

 法隆寺の逗子で有名なタマムシも少し大きいが、時に見たこともあり、コガネムシはきっとタマムシと同じくらい、カナブンより綺麗なのだろうと勝手に想像したりしていたものだった。それでもカナブンとこがねむしの区別は曖昧なままだった。

 今回カナブンのことを思い出した序でに、カナブンとコガネムシはどう違うのだろうか、一度確かめてみようと思った。幸い、今はGoogleが何でも教えてくれる。早速調べてみると、思いもかけず、カナブンはいわば益虫であるが、コガネムシを見たら、早速除去することを考えるべきだと書かれている。コガネムシは植物の葉を食い荒らし、幼虫は根を齧る害虫だとあり、びっくりさせられた。コガネムシの名前や歌が何か可哀想な気がした。

 コガネムシとカナブンの見分け方は、コガネムシの方が丸みが強く、カナブンの方が四角に近い。羽のつけ根が前者は半楕円形で、後者は三角形だという。カナブンはよく見たが、詳しく観察したことなどない。皆、結構丸みを帯びていたように思う。まさか皆コガネムシだったということでもあるまい。皆がカナブンと言っていたし、それで通っていたのだった。

 私の中では、コガネムシは童謡にあるごとくに、いわば幻の中の虫で、カナブンよりも美しい虫だとばかり思っていたのに、カナブンが良くて、コガネムシが除去の対象だとは、夢の中のコガネムシの金蔵や家までが崩壊していくようで、少し可哀想な気がした。