首相失格。辞めてくれ!

 もうこの首相、菅首相には辞めて欲しいと思う人が益々増えてきているのではなかろうか。

 以前にも書いたように、この人が官房長官だった頃から、この人物は番頭であっても、主人にはなれない人だと思っていたが、突然安倍首相が辞めて、他に人材がなかったのかどうか、ひょっこりこの人が総理大臣になってしまった。

 しかし、この人が首相の器でないことはすぐにわかった。国を率いる政治家にとって、国民に説明し、必要な政策については国民を説得し、実行したことにははっきりと責任を取ることが求められるが、そのどれも出来ていない。それに将来の展望というものがない。何よりも言葉がないのが決定的な欠陥である。

 首相に就任した早々、人気を取ろうと思ってか、パンケーキを持ち出したり、自らガースーですと言ったりしたが、自助、共助、公助と言い出して、すぐ本質が暴露してしまった。

 国家の上に立つものが、就任早々、こんなことを言えば誰にも支持して貰えないことが分からないのであろうか。心にどう思っていても、もう少し国民に希望を持たす就任の挨拶があるであろうが、と思わざるを得なかった。

 その後の様子を見ていても、記者会見を嫌うし、いつどの場面でも、何を聞かれても、まともなは返事がなく、あらかじめ書かれた原稿を読むだけである。国民の耳に響く話が口から出た試しがない。学術会議会員の任命拒否でも、今だに、とうとう何も理由を明かさず、沈黙を守ったままである。

 そして次がコロナの流行である。第1波の頃には、まだ官房長官の時代であったが、誰が考えても、コロナはこの時にこそ、完全に抑えるべきだったのに、旅行業会の利権を汲んで、GoTo政策をだらだらと続け、感染を根づかしてしまった。

 次いでは、今回のオリンピック強行の問題である。オリンピックをこの夏に実施したら、コロナ感染の爆発が起こるであろうことは誰が見ても明らかであった。専門集団の尾身会長も緊急事態宣言下でのオリンピック開催などあり得ないと否定したのである。

 それに、緊急事態宣言などは、初回には効果があっても、繰り返せば繰り返すほど、皆慣れてしまって効果が薄れてれてくることは誰にも分かっている。生活の補償もなければ、自分で自分の生活を守らねばならず、いつまでも忠実に従っておれるものではない。

 いくら金融面、流通面からヤクザ並みに締め付けようとしても、生活のかかった飲食業者が反発するのは当然で、うまくいく筈がない。人流を減らし、集会や旅行を抑えようとしても、一方で、全く反対の、人を集めて大騒ぎを求めるオリンピックを開けば、世のムードだけからしても、コロナ流行が拡大するのは当たり前であろう。

 その上、この夏は、昨年来一年半に亘って、コロナで色々な面での自粛が叫ばれ続けられた後の夏である。個人経営の飲食業界などでは、いつまでも自粛を続ければ、廃業するよりなくなる。客の方も、いつまでも外食外飲を断てるわけもない。若者の路上飲酒が流行るのも当然であろう。

 一般の国民も自粛が長くなれば、いい加減にもう我慢がし難くなって、自由の手足を伸ばしたくなるのが人情であろう。それに、夏は開放的な季節である。例年の夏休みもお盆もある。それに、オリンピックのために特別に作られた連休さえある。

 さあ皆で騒ぎましょうと言いながら、緊急事態宣言だから、外出はするな集会はやめろ、外食は控えろ、家で静かにオリンピックを見てろと言われても、そんなものが守られる筈がないではないか。

 政府の思惑と違い、事実は全てはずれてしまっている。オリンピックをやるかやらないかはIOCが決めるのだと言って、責任逃れをしても、結局は大きな利権に引き摺られてオリンピックを実施してしまった。随分、無駄な金も使っているようだが、ここではそれには触れない。

 オリンピックをやりさえすれば、国民はそれに夢中になって、政府の支持率も上がるだろうという思惑もあったようだが、それよりもコロナ感染急拡大の方が強かった。ワクチンをも頼りにしていたようでもあるが、変異株がなかったとしても、出遅れた接種の開始がワクチンの効果を先のことにしてしまっていた。

 こうして、オリンピックに一致してコロナ感染の大爆発が起こってしまった。それでも自分が間違っていたことに気がつこうとしない。今なお、オリンピックはコロナの大爆発とは関係がないと言い張り、更には、破綻しかけた医療体制には、コロナ感染者の重症者以外は自宅療養にするという、感染症の基本も知らない政策を、専門家に相談もせずに決めるなど、政府の暴走はもう止まらないようでさえある。オリンピックがコロナ感染の大爆発に関係がないとは、菅政府以外では誰も言えないであろう。

 このコロナ感染の大拡大で多くの命が失われたら、政府はどう責任を取る積もりであろうか。予測は早くからついていたのに、政府はオリンピックにかまけて、何ら有効な予防的な措置を取らなかったと言っても良いであろう。

 SNSによれば、現状は、コロナ感染で東京の「自宅療養者」(調整中含む)は2万9037人。体調急変で救急車を呼んでも213人のうち半数以上の122人が医療を受けられない医療崩壊(8/1)で、8月1日~4日の4日間で自宅死8人と急増しているということらしい。

 いくら何でも、あまりにも情けない。それでも、首相は国民に話しかけようとせず、記者会見さえ避けようとしている。広島の平和記念祭ではあいさつの原稿を飛ばし読みしてしまう誠意のない姿勢まで示している。

 もうどう見ても、菅首相は首相失格である。もう一刻も早く辞めて欲しいものである。