アラスカでの米中対話

 アメリカでバイデン政権が出来て、先月にはアメリカの軍部と外交のトップが 日本と韓国を訪れ、それぞれ2+2の会談が行われ、その後中国へは行かず、米中から等距離ということでアラスカのアンカレッジで米中会談 行われた。

 その会議の内容は外観だけしか分からないが、興味深かった。アメリカが中国の民主主義、新疆ウイグルのジェノサイド、香港の民主化デモの弾圧などのついて非難したのに対して、中国側がアメリカに対し、「アメリカの価値観だけが絶対ではない、対等な立場で話し合うべきであり、上からの目線で言うな。記者を追い払う必要はない。アラスカまで呼んでおいて失礼じゃないか」などと強く抗議した様子がテレビにも映っていた。いつも世界の指導者の如く振る舞ってきたアメリカの代表に対して、対等の立場で堂々とやり合ったのを見て、多くの日本人は密かに声援を送ったのではなかろうか。

 内容はともかく、日米のやりとりがあまりにも情けないからである。ごく最近の出来事でも東京都内での米軍のヘリコプターの低空飛行で、都民からも安全上の問題があがっているのに、政府は米軍に抗議さえしていない。同じ敗戦国でも、ドイツやイタリアでは駐留米軍にも国内法を守らせているのに、日本政府は米軍の行為を黙認しているだけである。同様な問題は岩国基地に関しても、四国の米軍訓練ルートについても言われる。

 沖縄についてはもっとひどく、選挙を通じてもはっきり民意が示され、県民挙げての執拗な反対にさえ聞く耳持たずで、全てを無視して基地の整備が強引に続けられるなど、日本政府のアメリカに対する姿勢はあまりにも卑屈で情けない。国民の切実な要望を聞くより、アメリカの言いなりで、あまりにも情けない。

 未だに日本はアメリカの実質的な植民地も同様で、米国との実際的な関係は地位協定によって、在日アメリカ軍と日本政府の定期的な会合によって、全て決められることになっているようである。アメリカの軍隊によって支配されていると言っても良いのかも。

 この度の菅総理アメリカ訪問も、アメリカの空軍基地を経ての入国で、共同宣言でも中国を念頭において台湾海峡問題に言及するなど、アメリカの対中戦略にすっかり取り込まれてしまっている。日本にとって中国は最大に貿易相手国である隣国で、台湾が中国の一部であることを認めてきた事実もあり、米中関係とは異なった日中関係や日本の利益があるのである。

 日本は隣の16億人からの人口を抱える大国となった中国なしには生きて行けないことを知るべきである。中国との間に戦争しなければならないような矛盾があるわけでない。十分平和的に共存していける関係のある中で、アメリカの中国の躍進を阻みたい戦略に全面的に応じなければならない必然性は何もない。米中両側から独立した中立の立場を明らかにすることが将来の日本にとって不可欠なことではなかろうか。

 このままズルズルとアメリカの言うなりになっていては日本の将来はない。ここらで真の独立に向けて踏み出さねばならないのではなかろうか。それにしては今の日本政府はあまりにも情けない。