卑怯なコウモリ・・・イソップ物語

  1.  イソップ物語ののコウモリの話を覚えてられますか?
  2. 「むかし、とりとけものはいつもけんかをしていました。こうもりは『わたしはとりの仲間です!』『わたしはけものの仲間です!』と言ったり、自分の得になるようにころころ立場を変えていました。
  3.  やがて、とりとけもののけんかが終わるときがやってきました。こうもりは今まで自分勝手に立場を変えてきたぶん、とりにもけものにも仲間はずれにされ、暗いどうくつでさみしく過ごすようになりました。」というものである。
  4.  どうしてこういう話が出て来たかというと、中国の発展がめざましく、米中の軋轢が強くなり、米国は何とか中国の発展を抑えようとしてQuadやAukusといった同盟などで中国包囲網を作り、中国の今以上の発展を抑えようとする動きが活発になって来たからである。
  5.  それに伴い、日本でも嫌中の意識が強まり、台湾や沖縄などに対する中国の軍事的圧力に対応して、沖縄などの南西諸島にミサイル基地などを次々と建設し、先制攻撃さえ可能とするような話までが進んでいる。
  6.  ところが経済的には日中の結びつきは強く、貿易面などで将来とも、日本の産業は中国に依存しなければなやっていけない。中国が巨大な隣国であり。古来中国とはあらゆる面で関係が深いことは周知の事実である。
  7.  それにもかかわらず、敗戦以来、日本は日米安保条約などで完全にアメリカの従属国になり、軍事的にも自衛隊アメリカ軍の指揮下に動く軍隊となっているのである。そのため、アメリカに言われるままに対中前線基地としての南西諸島の軍事化を着々と進めているのである。
  8.  この米中に挟まれた矛盾をどう解決するのか。日本にとっては、米中ともに生存に不可欠な相手なのである。それが米中の対立は次第に緊張に度を高めていきそうなのが今後の大きな問題である。
  9.  米国の従属国である日本においては、日米条約は日本国憲法よりも上位の法律なのであり、日本の自衛隊アメリカ軍の指揮下に入ることになっている。 従って、今のままでは、万一米軍が中国軍と戦うようなことになれば、必然的に自衛隊は米軍の指揮下で中国軍と戦わされることになる。
  1.  米国にとっては日本は対中戦略の最前線なのである。ということは中国を攻撃する基地であり、基地はあくまで攻撃のためで、自国を守るために不可欠なものではない。米軍は不利とあらば、いつでも撤退して、また反撃を目指せば良いわけである。
  2.  太平洋戦争の時にマッカーサーがフイリピンを捨てて I Will Returnと言って逃げ帰って、日本軍がフイリピンを占領し、戦争末期にまた戻って来て、日本軍を殲滅した歴史が思い出される。 おかげでフイリピンの国民はひどい目に遭った。米中が戦争になれば、日本はその時のフイリピンと同様な運命を背負わされることになるでろう。
  3.  米中どちらも広大な大陸国家である。先の戦争でも、日本はあの混乱した遅れた中国ですら遂に征服出来なかったように、米国も中国のような大国を完全に征服することが出来る筈はない。朝鮮戦争や、ベトナム戦争アフガニスタン戦争などを見ても、米国が勝てないことがわかる。
  4.  これらの歴史を見ても、いかに一時的の戦闘に勝ち、殺戮、破壊、荒廃が起こっても、双方ともに最後の勝利を得ることは出来ないであろう。そんな戦争に巻き込まれれば、日本は殺戮、破壊、荒廃など負の面だけを背負わされることになり、米中は共に大怪我を負いつつも生き残るであろうが、犠牲にされた日本は目も当てられない滅亡の淵に追いやられかねない。
  5.  アメリカへの従属ベッタリでは、第一線の日本は勝敗の如何を問わず、甚大な損害を受けさせられることになるであろう。中国にも頭を下げることはない。コウモリのようにうろちょろしてはならない。
  6.  基地を作るのを止め、日米条約を対等なものとし、完全中立が守れる道へと進むことが、唯一の日本が生き残り、将来の発展に繋げられる道であろう。
  7.  もうそろそろ真剣に安保条約や地位協定を対等の条約に切り替え、自主独立路線で進むことを、考えるべき時が近づいているのではなかろうか。 
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