闇に葬られた歴史

 裏の世界のことは我々一般の人々には分からないので、勝手に想像するよりないが、普通の常識的な成り行きとは違った、思わぬ方向に政治や社会が進み、どうしてなのかと怪しむことが時々起こる。

 戦後間もなくの日本ではどうも、それまでの普通の常識では考えにくい事件が度々起こり、どれも結局うやむやのうちに済んでしまった。戦後のある時期にだけ、当時の国鉄で列車の故意による暴走事件が繰り返されたり、国鉄の総裁が死後轢断で発見されるというような事件が起こった。

 結局不明のまま忘れられてしまったが、あまりにも日本離れのした事件が多かったので、占領軍の関与が疑われたままとなった。

 また奇妙だったのは、敗戦直後に戦争犯罪人として捉えられて、他の旧大臣や政治家達と共に巣鴨送りとなっていたのに、戦時中の大臣であり、旧満州国の経営にも主導的役割を果たした岸信介が、何故か無罪放免されて巣鴨から出ただけでなく、末には総理大臣にまでになった経緯については誰も語らないが、アメリカ政府との取引があったとしか考えられない。岸はアメリカのCIAの手先になったという噂もあった。

 そこから想像すると、戦後の占領期に結ばされた日米安保条約やそれに付随した日米地位協定だけでなく、もっと影で、日本はアメリカにがんじがらめに締め上げられ、絶対服従のような関係を押し付けられて来てしまっているのではなかろうかと疑わざるを得ない。

 その後も、田中角栄が総理大臣であった時には、角栄アメリカへの断りなしに中国との国交回復をした途端に、ロッキード収賄事件を暴露されて収監されるということがあったが、あまりにも出来過ぎた経緯なので、やはりアメリカの影の手が動いたのではないかと想像させられたが、これも真実は有耶無耶のままに葬り去られてしまっている。

 その次には鳩山・小沢の民主党政権が出来、沖縄問題で日米安保に踏み込んで、基地をせめて沖縄県外に持っていこうとしたことがアメリカの逆凛に触れ、たちまち潰されてしまったこともあった。ここでもこの国では政府よりも強い力が政府さえ倒してしまうことが示された。

 この国では、日本国憲法より日米安保条約の方が上位の法であり、日本の官僚は定期的な米軍との協議で、国内の政治より対米従属関係が優先されている現実を見れば、これまでの上記のような推論もあながち否定することは出来ない。

 現在までの沖縄の基地問題や、本土における数々の米軍優先の政治から見ても、日本が米軍の軛きから容易には抜け出せない仕組みになっていると思わざるをない。

 哀れな祖国よ!独立出来るのはいつのことだろうか?