日本はアメリカのために戦わされる?

 巷には日本は日米安保条約によってアメリカが守ってくれると思っている人もいるようであるが、日本にいるアメリカ軍は日本を守るためにいるのではなく、アメリカのためのアジアにおける前進基地として、利用するためにいるものである。

 朝鮮戦争の時も、べトナム戦争の時も、アメリカ軍はこの日本の基地から戦闘に出掛けていったのである。その他のアメリカが行った多くの戦争でも、日本の基地が前線基地として使われてきている。これらの基地は日本がどう言おうと、日米安保条約アメリカが自由に使う権利を持っているのである。

 最近のアメリカは自己の覇権を維持し、中国の発展を抑えたいため、仕切りに台湾問題を俎上に乗せ、最近はロシアのウクライナ侵攻を機会に、日米は揃ってそれを「国際秩序の根幹を揺るがす行為」だと非難する機会に、いつも「同様の事態がインド太平洋地域で生起することは決して許してはならない」と強調している。そのアメリカに言われて、日本は急速に沖縄や南西諸島の軍備強化に走り、敵基地攻撃能力までつけようとしている。

 しかし、現実は、中国が東アジアで近隣諸国へ攻めてくる必然性や可能性は現在のところ先ず考えられない。アメリカがしきりにに挑発しているが、中国の台湾侵攻も急がれないし、万一あったとしても、台湾が一つの中国の中であることは、今もアメリカも日本も認めているので、中国の国内問題であり、他国が容易に手を出すことは出来ないであろう。更には、直接の米中対決となると世界戦争に繋がるのでその可能性も少ない。

 従って、ありうるシナリオとしては、日本が先頭に立たされ、台湾やその周辺をめぐる混乱に関与させられ、中国の介入を引き起こし、ウクライナのように、日本に戦わせて、アメリカは直接手を出さず、軍事援助などで大儲けするだけというようなことが起こりかねないのではなかろうか。

 最近、日本では仕切りに軍備増強だの、敵基地攻撃能力だのと、平和憲法を無視する物騒な話が横行しているが、実態とあまりにもかけ離れているのを見ると、これらはアメリカからの巧妙な指図によってされているもので、日本を混乱に巻き込むための周到な準備ではないかと疑わざるを得ない。ウクライナではロシアに侵略させるのに8年も前から手を打っているのである。

 仮に台湾問題などで紛争が起きた場合、アメリカは有利と見れば加わるが、不利と見れば前線基地からはいつでも逃げられる。残った逃げられない日本は壊滅的な損害を被ることにもなりかねない。ウクライナと同じ運命であろう。

 それを避けるためには 今こそ軍備増強ではなくて、中国との交流を盛んにし、平和外交に努め、日中友好を図ることである。現在日本と中国との間には、解決困難な本質的な矛盾は何も存在しない。外交に努力し、日中が手を携えてともに発展していくことを目指すべきであろう。

 そのためには、アメリカへの従属のくびきを断ち、日本が独立した判断や行動が出来る立場を確保することが必須である。