今時の若者に期待する?

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 90歳も過ぎて、余命いくばくもない爺さんが、今の若者がこうあれ、こうあって欲しいと言ったり、思ったところで、老人の勝手の自慰行為に過ぎないことは重々わかっていながら、それでも気になるのが今の若者の行動や目標である。

 NHK放送文化研究所の最新の若者の調査では「今の生活について「満足」「どちらかというと満足」を合わせると。1973年の調査開始以来最高の92%が『満足」と回答しているのだそうである。

 今の若い人たちは、生まれた時が「失われた30年」の最中。「社会ってこういうものなのだ」「悪いことがあれば、それは自分のせい」という意識が強い。政治に異議申し立てをしないどころか、諦める作法の方が身についているというのは社会学者の富永京子氏の話。(朝日新聞2020.12.23. )

 コロナによる失業者が、実際にはもっと多いようだが、7万人とも言われている。失業者でなくとも、コロナの影響で、大学を辞めなければならない者も多いようだし、パートやアルバイトの仕事がなくなり、貧窮の陥っている人たちも多いと言われている。

 政治的にも、菅内閣の支持率は、コロナ対策の失敗などで、34%にまで落ちたままであるし、コロナの蔓延で消費は落ち込み、経済の停滞も続いている。ワクチン接種が始まるようだが、コロナが落ち着くには未だ時間掛蘇澳である。オリンピックもどうなるかわからないし、将来に向かっての明るい展望は乏しい。それにもかかわらず、自民党の支持率は案外減らないのだそうである。

 真山仁氏の若者との対話による印象でも、若い世代は、未来に不安を感じ、社会をもっとよく知りたいと積極的に活動している印象があるが、殆どの結論が現状肯定で、「なかなか世の中は変わらない」に落ち着いてしまうことが多いという。

 「自分たちは幸福じゃない気がするけど、そのために何もできないのでは」「今は政治への関心より、自分たちの仕事を極めるとき」という声が主流のようで、多くは「今はまだ危機感を感じない」ようで、「既存の壁をぶち破り新しい社会を生み出すぞ!」という燃えるような気概は薄いと言われる。(朝日12.25.)

 戦後の溌剌とした民主主義の夢、安保条約反対闘争や、ベトナム戦争時代の反戦運動、学園闘争、全共闘活動などと、ずっと続いてきた若者の政治的な運動も、その善悪は別にしても、今ではその若いエネルギーが政治に向かう力はすっかり弱くなってしまった。

 冒頭の図の山田洋次監督の嘆きの言葉にもあるように、今の学生は「なぜ、こんなにおとなしく、聞き分けが良くなってしまったのだろう。・・・この国の未来はあるのだろうか」と私も真剣に心配にならざるを得ない。この国の未来が心配である。