どうしてPCR検査を拡げないのか?

 以前にも書いたことがあるが、コロナの流行が始まった頃からPCR検査をもっと広範にすべきだと思い、そうも言って来たが、未だにPCR検査の件数は増えない。初めてコロナが流行った中国でも、韓国でも、PCR検査を徹底的にやって、コロナの流行をを抑え込んだ成功例があるのに、日本では、今のようにこの流行がが3次、4次と拡大して来ても、なお未だにPCR検査が十分には行われていない。

 初めの頃は、 日本ではSARSの流行った韓国と違って、PCR検査にすぐ対応出来る体制がなかったと言われたり、コロナ感染者の周辺へのクラスター調査の方が効率が良いと言ったことなどが言われたりしていたが、それから1年以上も経って、流行は益々広がっており、日本でも充分に検査の機器や人員などが揃えらる時間とゆとりが出来たはずなのに、未だにPCR検査は充分には行われていない。

 それにもかかわらず、自民党では全員にPCR検査を行うことにしたとか、オリンピックで来日した選手には毎日PCR検査をするとかいうかような報道があったりもする。国会などで追及されると、PCR検査は増やすとの返答が毎回帰ってくるのだが、言うだけで、実際には増えていない。最近、広島県では、県民にいつでもPCR検査が出来るようにしたそうで、県知事の英断が誉められたりしている。やろうとすれば出来るのにどうして増やさないのか理解に苦しむ。

 感染症が流行した時に、それを食い止めるためには、感染者を見つけることが、先ずは感染制御の基本であることは誰でも知っている。一人の患者が発生すれば、周りの人を調べて、クラスターの追及することも大事だが、無症状の感染者もいるので、PCR検査のように、その病原菌の保有者を見つけることがまずは必須の第一歩である。

 そんなことが分かっているのに、何故いつまでもPCR検査が普及しないのか、どうしても解せない。PCR検査にお金がかかるとしても、コロナが流行して緊急事態の発令をしなければならなくなり、休業した店や会社に補償金を払うより、PCR検査を広範にして、早く患者を見つける方が安上がりになるはずである。PCR検査を増やすと感染者や偽陽性者が増えて医療崩壊が起こるからとも言われたりもしたが、そうでなくても、既に大阪などでは医療崩壊は起こっているのである。

 広島県で出来ることが東京や大阪で出来ないはずはない。誰でも、何時でも、何処ででも、PCR検査が手軽に受けられるようにして、出来るだけ早く感染者を発見して対処するようにすべきではないか。殊に、今多くなって来ている変異種は若者にも多いと言われている。社会的な行動変容などの要請も勿論必要であるが、やはり今こそPCR検査を充実させて、感染者を早く見つけて隔離することが感染拡大防止に必須であろう。

 今度の緊急事態の宣言も期間が短すぎるし、住民に対する要請も科学的根拠に乏しい上に、補償も寂しすぎる。ワクチン供給の遅延も加えて、政府のコロナ対策は全て後手後手であった。これでまだオリンピック開催にしがみ付いているのだから、政府にはほとほと情けなくなるばかりである。

 なお昨日の新聞を見ると、一週間の検査数が大阪が10万5千であるのに、東京が5万8千しかないのは、どこかで検査を抑えているのではないかと疑わせる。共に感染が拡大し、緊急事態宣言が出されているのに、人口がはるかに多い東京の検査数が、大阪の半分ぐらいしかないのが解せない。