未来への希望

 戦後のニヒリズムを体験させられて来たからであろうか、それとも歳をとった為であろうか、現実の世界を見ても、がっかりさせられるような事ばかりで、いよいよ最近は昔のように人類の未来への希望が持てなくなって来た感じである。

 資本主義社会の矛盾はますますひどくなり、ネオリベラリズムによって格差は拡大し、貧困化が広がるばかりであるし、日本の経済はここ30年ずっと落ち込むばかりで、少子高齢化の社会では、明るい兆しも出てこない。

  戦後のアメリカへの従属はいつまでも続き、真の民主主義政治には遠く、折角出来た平和憲法はなし崩しに解釈を変更され、アメリカ従属の軍備増強が進み、今や敵基地攻撃能力だの、先制攻撃だなどと、いつでも戦争が出来る準備まで進み、平和憲法自体をも変えようという力がますます強くなって来ている。

 しかもアメリカに従属したまま、中国やロシア、北朝鮮が公然の仮想敵国とされ、沖縄や南西諸島の島々の軍事基地化が進み、アメリカに言われるままに、中国の国内問題である台湾への軍事介入さえ行われかねない姿勢である。しかも軍備は進んでも、平和を維持するための外交はますます貧弱である。

 戦後77年も経つというのに、いまだに不平等な安保条約や、それに伴う地位協定は、微動だにせず、改定の動きなどないどころか、ますます従属を深めて、がんじがらめに締め付けられて来ている感じである。せめて死ぬまでにはと思っていた日本の独立も見果てぬ夢に終わりそうである。

 政治的にも、経済的にも明るい未来はない。こちらはやがて死んでいくのだからどうでも良いようなものの、やはり長く暮らしたこの国への愛着は捨てられない。頑張れよ。明るい未来にかすかな希望でも見せてくれと言いたいが、先に見えるのは不安と暗黒の世界ばかりである。

 それでも何とかそれを乗り越えて、私の死後のことになっても良いから、この国が真に独立し、国民が国の主人公となって、子孫たちが幸せな生活の出来る日の来ることを期待しないではおれない。