インパール作戦のようなコロナ対策

 いよいよコロナの第三波がやってきそうである。ところが、もはや政府は最早GoToは止められない。仕方がないから、「静かなマスク会食」とか、「小さな五つ」などと個人の注意や、「褌を締めなおせ」などといった精神論しか言えない。戦争末期の大失敗のインパール作戦そっくりではないか。

 誰が考えても、人の移動が感染を拡大することがよく分かっているのだから、先ずGoTo を止めて、方策を考えるべきところなのに、経済優先で前倒しで始めたGoToは、一旦始まれば、もう急には止められない。大艦は素早く向きを変えられないのである。

 そもそも、コロナが収束した後にする筈だったGoToを、利権がらみに、前倒しして始めたのが間違いであった。まだコロナがくすぶり続ける中でGoToを始めれば、コロナの再燃が起こるであろうことは素人にも容易に想像出来たことであったし、そんな大掛かりな政府の事業は色々な利害が絡むので、一旦決まれば、そう簡単には変えられないことも、初めからはっきりしていたことである。

 こう見ると、今の政府の政策は、初めから負け戦とわかっている、インパール作戦 とあまりにも似ていることに気が付く。あの時も、一旦大本営で決まった作戦は容易には変えられなかった。勝機がないことがわかっていても、最早猪突猛進するよりなかったために、どれだけ多くの兵士の尊い命が失われたことであろうか。それでも総指揮官の牟多口将軍は部下を見捨てて、自分だけは日本へ逃げ帰っているのである。

 今回の相手は世界中に蔓延しているコロナである。GoToに的確な手を打たないで、子供に言うような個人的な注意だけで、どれだけ効果があるのであろうか。国民は言われなくても自分の体を守るために手を打ち、注意しているのである。

 それにマスクをしたまま、左手でマスクを片方外して、箸で飯を口に入れ、マスクをし直して喋る、というような食事を日常的に続けられるものだろうか。「五つの小」も個人的な注意としては悪くないが、政府の施作としては、もっと大きな船を動かすような施作でないと有効ではないであろう。ひょっとして、政府は初めから責任を国民に押し付けて逃げ切ろうとしているのではなかろうか。

 先ずは政府が社会的に有効な施策を打ち出し、それに個人的な注意の喚起をつけたすのが政治ではなかろうか。この際は思い切ってGoToを止め、早めに補償を伴った自粛を要請するなりして、改めて、徹底的なコロナ対策に取り組むべきであろう。早くコロナを制圧すれば、それだけ早く経済も回復出来ることを知るべきであろう。