アメリカだけは何をしても良いのか?

 テレビのニュースを見ていたら、アルカイダビン・ラディンの後継者であるアフガニスタンザワヒリ氏をアメリカが殺害したと報じられた。カブールの自宅にいるのを確かめ、バルコニーにいる時にドローンを使って殺害したという。

 一緒にテレビを見ていた人が、「これってテロじゃない?」と言った。アフガニスタンの戦争はもう終わってアメリカ軍は完全に撤退しているし、平和な都市の自宅で寛いでいるところを突然ドローンで襲って殺すと言うのはどう考えても、言われる通りテロと言わざるをえない。

 いくら憎つきアルカイダの大将だったにしても、9・11のテロ事件の報復の戦争はもう結末のついた後なのである。他国の領土で平和に暮らしている個人を殺害することはどう見ても犯罪であり、人道上誰にも許されるものではないであろう。アメリカのいう普遍的価値からも遠いものである。

 たとえ、アメリカが世界の警察官であろうと変わりはない。ビンラディン殺害の時も、パキスタンという外国の領土内に無断で潜入して殺しているのでである。テロに対してはテロで復讐するというのは文明国のすることではない。テロはテロの悪循環を生むだけである。

 アメリカは確かに一時は世界の警察官と言われる程に実力を持ち、、世界に君臨してきた。しかし、それに乗じてこれまであまりにも自分勝手な行動をしてきたのではなかろうか。

 今回のウクライナ戦争にしても、戦争を始めたロシアは非難されるべきだが、そこに至る過程では、アメリカが如何に挑発行為を繰り返してきたかということも問われなければならないであろう。まずは冷戦終結時の約束を反故にして、NATOをどんどん東方の拡大し、ウクライナの親ロシア政権を倒し、アゾフ大隊などの反ロシア極右団体を育てたりと挑発を強めてきたことが戦争の原因になっているのである。

 そしてまた、アジアでもアメリカは台湾が中国に属するとする一つの中国を認めながら、台湾に武器を送り、周辺の軍事的挑発を続け、今また中国の強い反対を押し切って、ペロシ下院議長を台湾に行かせるなど、無用な挑発行為としか思えぬことを繰り返している。こうして、日本にまで、軍備増強を押し付け、わざわざ東アジアに争いの種を撒くことに余念がない。

 現在東アジアには、国運をかけてまで争わなければならなような国家間の基本的な矛盾はどの国の間にも存在しない。平和理に外交的に解決し、平和共存の相互関係が出来る状況にある。その中で、アメリカは何としても、これまでのアジアにおけるアメリカのプレゼンスを続け、アメリカ支配を維持しようといているようである。

 日本がそのアメリカに乗せられることは何としても防がなければならない。アメリカと対立しなくても、アメリカの挑発に乗せられず、真の独立を獲得し、日本独自の立場を確立して周辺国とつきあうべきであろう。