駅のエレベーター

 近頃は外出する時はもっぱらトライウオーカーを利用しているので、交通機関の利用の仕方もそれなりに少し変わった。まだ若い元気な頃は最寄りの池田駅を降りる時には、6両目の一番前のドアが階段に一番近いので、そこから真っ先に降り、誰よりも早く階段を走って降りていたものであったが、歳を取ってからも優先座席が6両目の先頭にあるので、同じあたりに座り、電車を降りてすぐに階段に取り付けるが、最早、”真っ先に走って”とは行かないが、手すりを持って降りることになっていた。

 ところが、トライウオーカーを利用する様になると、長い階段をウオーカーを抱えて降りるのは少し大変なので、エレベーターを利用する様になった。それに合わせて電車に乗る位置もエレベーターに近い4両目に変わった。エレベーターで降りると階段よりも改札口に近いのも便利である。

 電車に乗る時は上りのエスカレーターがあるのでそのまま登って行けるが、下りはエスカレーターがないので、エレベータを利用することになる。下りのエスカレーターでも、たたんで横に保持すれば可能なので、改札を出てから地上に降りるには、いつも下りのエスカレーターを利用している。

 池田駅はこの様に便利に出来ているが、以前に書いたことがあるが、一般に駅のエレベーターは大抵駅が出来てから後から造られているので、便利な所もあるが、とんでもない駅の端に作られているケースが多い。足の悪い人にホームを延々と歩かせて、やっと利用した後もまた長々と歩かされると言った、足の悪い人泣かせの場所が結構ある。池田駅でも、改札を出て後、地上に降りるエレベーターを使うとなると、だいぶ歩かなければエレベーターに辿り着けない。

 電車で梅田へ出た時も、従来ならばホームの中程のエスカレータを利用していたが、改札を出てからまたエスカレーターで降りねばならないし、混雑時にはウオーカーを抱えてのエスカレーターは他人の邪魔になるし、危険性もあるので、今は三階の改札を出て、エスカレーターには乗らず、奥にあるエレベーターで地上まで降り、地下鉄に乗る時には、少し戻ってターミナルビルのエレベーターで地下へ降りる様にしている。

 初めのうちはエレベーターの位置も分からなかったので、階段を降りたり、下りのエスカレーターを利用したりとまごついたが、慣れると新たなルートに体が自然と導いてくれる様になる。こうして地下鉄のホームへ降りるエレベーターの位置なども、梅田ばかりか行き先の駅も、あらまし覚えてしまったので安心して移動出来る。

 こうして新しいルートで移動すると、また違った景色が見られて興味深い。梅田のあたりだとインバウンドの観光客が大きなキャリアーを持ってエレベータの前に順番を待っていることも多い。べイビーカーを押した母親や家族連れも見られるし、杖をついた老人、車椅子の若者など、普通のルートとはまた違った光景が見られて面白いものである。

 私もある意味で身障者の仲間入りをさせてもらったので、今ではトライウオーカーを駆使して、それなりにせいぜいあちこち出かけるようにしている。