トライウオーカーなら箕面の滝も平気で行ける

 以前にこのブログに書いたこともあるが、子供の頃に箕面に住んでいたことがあるので、箕面の滝には馴染みが深く、フルタイムの仕事を辞めてから、これまで20年以上も、月に一度は勝手に「月参り」と称して、箕面の駅から滝まで歩くのを欠かさず続けて来た。

 ところが歳には勝てないものである。以前は5.6キロの道のりを他人を次々に追い越して速足で上り下りし、1時間あまりで駅に戻ったものであったが、九十歳も越えるようになってくると、次第に、他人には追い越されるようになるし、途中で何回か一服しないと行けなくなってきた。

 昔は手ぶらで登ったのだったが、次第にステッキやダブルステッキのお世話にもなるようになったばかりか、遂には、脊柱管狭窄症なども絡んで、手押し車を押して登らなければならないことにもなってしまった。それでも月参りは欠かしたことがなかった。

 しかし、昨年末には、とうとう疲れが酷くなって来たので、もうキリが良い所で「月参り」も終了にしようかと思ったりしたが、今年の一月には娘の客人の付き合いで行く羽目になり、手押し車を押して何とかこなした。しかし、次第に平地の歩行でも、少し長距離になると疲れやすく、何度も休まなければならなくなり、とうとう「月参り」ものびのびになり、二月から五月までとんでしまった。

 ところが、五月半ばに「トライウオーカー」なる三輪の歩行補助具を手に入れ試してみると、四輪の手押し車とは違い、ずっと歩きやすい。これなら箕面の滝までも行けるのではないかと、近くの散歩や登り坂、下り坂などでの使い勝手も試し、次第に使うのにも慣れてくると、これなら何とか滝までも行けるのではないかという気がしてきた。

 丁度、孫がイギリスから帰って来たので、いざという時も助けて貰える機会にと思い、先日この「トライウオーカー」で箕面の滝まで行ってみた。駅ではホームへはエレベーターを利用したが、そこまでは、エスカレーターや階段の昇降も試してみた。重さも大したことなく階段でも、片手で容易に運ぶことも出来る。折りたたんで、ハンドル部分を掴めば、手すりを持てば昇り降りも楽である。

 石橋阪大前駅での乗り換えも問題なく、杖の時よりも遥かに速くスムースに出来た。箕面の駅から滝までの滝道も、ステッキで歩く時よりも疲れず速く歩くことが出来たし、以前の四輪の手押し車と違って、車が大きいのでガタピシした道路でも段差で引っ掛かることもなく、快適に進むことが出来た。

 滝は前日までの雨で、これまでに見たことのない力強い姿で流れ落ち、感動すら覚えるぐらいであった。しばらく滝を眺め、写真を撮ったりして休憩してから帰途に着いた。

 このようなウオーカーと言われる歩行補助具の問題は、上り道より下り道の方に多い。車が勝手に滑るので、ブレーキをかけながら進まなければならず、急な坂道を降る時の方が危険で、ゆっくりブレーキをかけながら少しづつ進まなければならない。以前の四輪押し車の時には、この「トライウオーカー」は少し大きいので無理だが、車を背負ったり、女房に引いて貰って、私はダブルステッキで降ったりしたものであった。

 この「トライウオーカー」については、あらかじめ、家の近くの坂道などで練習していたこともあり、思ったよりも困ることもなく降ってこれた。傾斜の緩やかな下り道では、道の砂利などによる凹凸が車輪のブレーキ役になり、殆ど平地と同じようにブレーキをかけなくとも操作出来る。少しきつい坂でも、ブレーをかけたり外したりで、余り難渋することもなくスムースに降りて来ることが出来た。

 駅の改札口でも、簡単にウオーカーの幅を変えられるので困ることもなかった。全体の印象としても、ステッキよりも軽々と歩ける感じで疲れ方も少ない。四輪の手押し車の時よりもずっと楽であった。

 この三輪の歩行補助具「トライウオーカー」は余り知られていないようだが、これは足の弱い老人にはお奨めの商品と言って良い。杖歩行と違い、体重の一部を車に乗せることになるので、普通に歩くより体の負担が軽く、車がついているので歩くよりも疲れずスムースに歩けるし、スピードも出せる。

 折りたためるので収納にも便利だし、小廻りが効くので自由な歩行の妨げにもならない。

休憩時には、駐車用のブレーキをかければ、安心して身近に置くことが出来る。足に障害がなくとも、足腰の弱った老人はもっとこういうものを活用して、より遠くまで疲れずに、上体を伸ばして、気持ちよく歩くようにすることをお勧めしたい。