日本政府は日本人のための政府か?

 新聞によれば、沖縄の普天間基地建設問題で、政府の出した設計変更申請を沖縄県が不承認とした決定に対し、国が是正の指示を行い、それが最高裁で認められた。これに対し、県は苦渋の決断を迫られ、知事は期限内の承認は不可能としたが、国は間髪を入れず、国が工事の承認を代執行すべく、高裁に知事への命令を求めて提訴し、あくまでも既定方針通りに基地の建設を進めようとしている。

 沖縄の住民がこぞって埋立に反対し、それを公約に掲げた知事が圧倒的な勝利で再選され、沖縄の人々の反対が明らかな上、辺野古の工事事態にも多くの問題を抱え、工事の目処も立ち難い状態で、普天間基地の代替の目安もつかないまま、あくまでもアメリカとの約束に従って国民の反対を無視してまで、なぜ工事を続行しなければならないのであろうか。

 政府は地元と誠実に向き合おうともせず、国交省は一方的に勧告と指示を出し、対話を求める県の要請を踏み躙っている。岸田首相が乗り出す気配もない。最高裁も是正指示を適法としただけで、工事の問題点には踏み込んでいない。政府が自治体に無理やり従わせようとする悪しき前例となりそうである。

 政府の沖縄いじめとしか言いようがない。アメリカの在日基地の九割までもを沖縄に押し付け、過去の過酷な沖縄戦による沖縄の人々の体験をも無視し、本土の基地反対の声をを薄め、あくまでアメリカの要望に応えんとする姿は、政府が日本国民の必要より、アメリカの要望を優先しているとしか言いようがない。

 アメリカに言われれば、国民に説明をすることもなく、素早く軍備を拡張し、南西諸島に自衛隊の基地を建設、軍事費を国家予算の2%にすることを決め、憲法を無視して敵基地攻撃能力まで備え、アメリカに言われるままに中古のトマホークまで買い、そのために、国内の少子化対策などの予算まで決めかね、増税を企みる様は、どう見てもアメリカの従属国としか言いようがない。

 日米安保条約や、それに伴う地位協定が、日本国憲法よりも優先しているのが根本的な原因であることは明らかだが、そちらの改定などは考えないどころか、逆に近年の従属関係はますます深まるばかりである。

 日本の政府が日本人の必要よりもアメリカの要望を優先する限り、日本の国民の願いが日本政府に届くのは、日本政府のアメリカに対するサービスの後になることを国民はしかと認識するべきであろう。