戦争を知らない世代

 政府はアメリカに言われるままに、とうとう最近、従来の先守防衛の枠を超えてしまい、敵基地先制攻撃さえ可能にし、国の予算もないのに、防衛費を総予算の2%以上と大幅に拡大し、トマホークを400発をアメリカから買うことにしたそうである。

 予算がないので、子育て資金など民生予算を削って、それでも足らない分は税金で賄うなどし、南西諸島に自衛隊基地を新設、増強し、有事の時にはいつでもアメリカの指揮下に戦える準備を始めている。

 最早、あからさまに戦争に備えている格好としか言えない。ウクライナの次のアメリカの目当ては、中国を巡る台湾戦争だとも言われている。再び代理戦争を始めたいのであろうか。アメリカ自体は深入りせずに、武器だけ売って後方支援をし、日本や韓国に代理戦争をさせようと企んでいるようである。

 このままこの路線を進めば、いつの日にか、日本はアメリカに唆されて中国と代理戦争をさせられる恐れが十分に高い。古代よりの隣国であり、文化的にも経済的にも強く依存してきた中国との戦争が日本に与える影響は計りきれないし、国の大きさ、人口の多さ、経済力、軍事力など、どの面をとっても全面的に戦って勝てる相手ではない。

 今や日本をはるかに抜いて巨大になった中国とは、善隣互恵の関係を続けることが日本の繁栄のためにも唯一の道である。まして、アメリカに乗せられて、中国と戦果を交えるようなことは絶対に避けるべきである。日本の国土の崩壊にとどまらず、日本の滅亡、消失にさえ繋がりかねない。

 上に掲げるように、あの戦争を知っている政治家が国を動かしている間は、日本が本格的に戦争に深入りすることはないであろう。これまではアメリカの配下にあっても、アメリカの矛に守られて、日本は盾さえ用意して国を守る。そういう安心感の上に日本の社会はやってきたが、今や状況は変化し、日本はアメリカに言われるままに、敵基地攻撃能力まで備えることになった。

 先年、沖縄を訪れた管元首相は沖縄へ行った時、沖縄戦や米軍基地のことを聞かれ、「僕は戦後生まれなので沖縄戦のことはよく知らない」と答えたそうだが、今や政治の中枢にいる政治家で戦争を知っている者はもう皆無である。話だけでは、実際の戦争のことは分からないであろう。

 こういう時代であるからこそ、アメリカのいうままになっておれば、やがて戦争を押しつけられても、断りきれずに戦争に引き摺り込まれる危険が多くなる。現在アメリカに言われるままに戦争が準備されて来ているのに、何処かの時点でそれを断り、日本なりの平和路線を守るか事が出来るのか、ますます心細くなる。

 しかし、如何なることがあろうと、日本が巻き込まれるような戦争からは逃げるべきである。外交力にこそ力を注いで、あくまで平和を守り、それでも万一戦いを拒否して占領されたとしても、国家と国民は別である。国は破れても、日本の国民の生命を守ることが何よりも優先されるべきことである。

 既に、日本はアメリカに敗れ、その従属国として今日まで生きてきたのではないか。他国に唆されて代理戦争をさせられるような愚は絶対に避け、あくまで平和を守り国民の命を守るべきであろう。