アメリカは民主主義国家か?

 アメリカは民主主義の手本のような顔をしているが、それなら日本もアメリカような国に

したいと思うか?と問われれば、否と答えたくなる。

 それにもかかわらず、アメリカは日本では外国の代表であり、多くの日本人にとっては、未だに憧れの素晴らしい国なのではなかろうか。そんなアメリカに住めたら良いなあ、私も住みたい、そこで暮らしてみたいと思う人も今でも多いのではなかろうか。

 確かにアメリカでは、白人で、大金を持っていれば、何でも自由に出來る。そういう強者にとっては、成程素晴らしい自由主義国家であろう。しかし、普通の庶民にとっては、決して何でも自由に振る舞える国ではない。

 ごく少数の金持ちが大多数の庶民の合計より多い資産を独占し、貧富の差が大きく、人種差別が強く、銃の取り締まりも悪く、社会保障政策が貧弱で、何でも金次第のアメリカのような国にはなりたくないと思う人が多いのではなかろうか。

 人々の間の経済的格差の巨大さは世界のどの国よりも大きく、外国の政治まで動かすような超富裕層から、何処にでも見られるその日暮らしのホームレスまでの巨大な格差に、人種差別、貧弱な社会保障などが伴い、お金を持たない人たちにとっては、実質的な自由は奪われ、平等は無視される。そのような中では、博愛も相互扶助ではなく、上から下への慈悲、お恵みとなる。

 民主主義の自由、平等、博愛の三原則の中では、平等こそが民主主義の根幹である。平等のない自由は民主主義とは言えない。力のある者の自由主義は彼らの独占国家と異ならない。自由も、博愛も、人々に平等な権利があって初めて民主主義と言える。人々の求めるものは自由より先に、同じ人間としての平等な権利であり、その平等の上にこそ、自由もあるし、助け合う博愛も成立するのが民主主義であろう。

 それに照らせば、現在のアメリカが民主主義の国と言えるだろうか。単に強者の自由主義国家とでもいうべきではなかろうか。人々の求めている民主主義は皆が平等な権利を持ち、それに従って自由に行動することが出来、お互いに助け合う社会ではなかろうか。それを民主主義というべきなのではなかろうか。

 金持ちがまるで城塞のような安全区域に住んで、自由な生活を謳歌し、そこからはみ出した多く庶民が低賃金労働で、借金に苦しみ、住宅をシェアし、健康不安や失業に脅かされながら暮らすて姿はどう見ても民主主義の社会とは思えない。

 その上アメリカはまるで世界の警察官のような顔をして、自分の価値観に合わぬ国に難癖をつけて政権を倒したり、侵略して国民の生活を破壊してきた。先の戦争以来アメリカほど他国に派兵して戦争を行なってきた国はない。

 アメリカのいう自由な民主主義社会と、彼らのいう権威主義的な社会主義国家と、実際にそこに住んでいる人たちの感じる満足感や幸福感、さらには将来に向けての希望や展望などはどのように違うのであろうか。

 常に歴史は動いており、ウクライナの戦争を見ても、今や一極支配のアメリカの影響から静かに抜け出そうとしている国も次第に多くなってきているのを感じる。この先世界はどう動いていくのであろうか。世界の破滅を免れれば、これまでとは違った世界になっていくであろうことは確かであろう。