情けない日本

 

 最近のSNS で上のような図を見た。なるほどそういえば、近頃はストライキの話を殆ど聞かなくなってしまった。戦後の全国一斉のゼネストや、国鉄や私鉄の数々のストライキ。炭鉱労働者のスト、全国に広がった安保闘争など。いろいろと血湧き肉踊る様な激しい闘争も数多く戦われたが、最近は沖縄の基地反対闘争や国葬反対、軍備増強反対、憲法を守れなどの政治的な反対デモなどはあっても、昔の様な労働者の纏まったストライキなどは影を潜めてしまった。

 これでこの国は民主主義国家と言えるかと疑問にさえ思われる。選挙だけが民主主義ではない。デモやストライキなども通じて、国民それぞれの反対意見の自由な表出や実力行使などがあってこそ、民主主義と言えるのではなかろうか。広くそれらによる国民の声や要望をも政治に取り入れてこそ民主主義国家なのである。

 この国では各選挙における投票率も低いし、統一教会の問題で明らかになった様に、政治の裏の金や社会的な歪みもいつまでも続いている。その上、若い人たちの政治離れも進んでいる。

 学生運動に対する否定的なイメージも強く、社会問題に関心があっても怖がられぬ様につながる。学生運動でなく、より穏健な学生団体を目指すなど、運動の声は、多数者や権力を持つ人たちにとって、聞こえが良いものになり易くなっている。

 少子高齢化が進んで人口は減少し始め、ここ30年も経済は停滞して、デジタル化、車のEV化などの産業構造の変化にも遅れをとり勝ちで、それらの対する施作も、アメリカの示唆による過重な軍事費優先などで、少子対策などをはじめとする民生対策は全て後回しとなってしまっている。

 にもかかわらず、過去の栄光に縋り、日本が最早はアジアでの唯一の先進国ではないのに、それを認識しようとしないばかりか、若者や学生に目立つのが政治に対する無関心、個人主義の流行であり、政府の危険な防衛強化論にも60%までもが賛成しているそうである。

 沖縄の人々の長年の要望も他人事として見殺し、基地造成 国を守ると言いながら再び沖縄の人々の犠牲を見ず、益々島民を危険に晒すことになってきている。それにもかかわらず、現政権は国民に図ることなく、国葬を決める、敵基地先制攻撃能力や莫大な軍備の増強の様な重大なことまで、予算の手当てもないままに決めてしまう。

 アメリカに言われるままに、この様な決定をしても、国民には納得のいく説明もしない。しかも、軍事を含む、それより大事な外交はおよそおろそかで、折角の日中国交正常化50周年の記念の年さえうまく活用出来ていない。

 日本が小さな島国に多くの人が住み、食料はじめ多くのものを海外に依存した国で、経済は停滞し、少子高齢化の進んだ国であり、水爆の4、5発だけでも全国が廃墟になるだけでなく、若狭湾の海岸線に並ぶ固定された原発が破壊されるだけでも致命傷をあびることも動かせない事実であろう。

 現実には日本は最早アジアの強国ではない。戦争の出来る国ではないことを自覚し、もっと外交交渉に力を注ぐべきであろう。