狼少年にするな・Jーアラート

 アメリカと韓国の軍事演習に対抗して、北朝鮮がまたミサイルの打ち上げを繰り返している。中に再び大陸間弾道ミサイルの撃ち上げもあったようで、日本でもJ-アラートが発せられた。

 ところが、Jーアラートが発令されたのは、ミサイルが日本上空を通過すると計算された時刻よりもも2分も遅かったそうだし、日本上空を通過する筈のミサイルは、途中で消えて消滅し、J-アラートの訂正の発表もあったようである。

 実際に日本が攻撃されるであろう時や、それに巻き込まれて損害が起こる危険が予測される時には、緊急アラートで知らせることは国民を守るために必須であろう。しかし、必須であればあるほど、正しく的確に伝え、利用しなければならないのは当然である。

 それであればこそ、Jアラートの運用は慎重に行い、軽はずみな利用は慎むべきである。今回のように、2分遅れではアラートの意味がないばかりでなく、誤った情報は人々に混乱を引き起こす上、それが繰り返されれば、人々に対する信用を失い、本当に必要なときに役に立たなくなる。J-アラートを狼少年にしてはならない。

 緊急に国民に知らせることが必須であるだけに、それを信じて貰える条件を作っておくことが必須である。安易にJ-アラートを発令すべきでない。Jーアラートの発令は果敢でなければならないが、余程慎重に正しく判断して発令しければならない。警告だから間違っても早く出しておいた方が良いなどと安易に考えるべきではない。多くの人々の安全や生命に関わることである。

 今回のように誤りがあったり、アラートが出ても危険が迫らないことが何度も繰り返されると、オオカミ少年の話の如く、J-アラートは人々の信用を失い、実際に必須の時に、またかと思われて、真剣に反応して貰えないことになる。国民を守るためには厳格なJ-アラートの運用を考えて欲しいものである。

 ただ、最近のアメリカと中国の分断に乗じて、外交を疎かにしたまま、軍備の大幅増強だの、敵基地攻撃能力、継戦能力保持だなど物騒なことばかりが騒がれている時勢を考えれば、その一環として、暗に人々の恐怖を煽るために、J-アラートも故意に利用されているのかもと怪しみたくもなるこの頃でもある。